東北大学 2014年 理系 第4問 解説

方針・初手
行列
$$ A= \begin{pmatrix} a & -b\ b & a \end{pmatrix} $$
が表す変換は、原点中心の回転と拡大縮小を同時に行う変換である。実際、任意の点 $(x,y)$ に対して原点からの距離は一定倍率で変化する。
したがって、まずその倍率を求め、点 $P,Q,R$ がそれぞれどの半径の円上に移るかを調べればよい。三角形が領域 $D={(x,y)\mid 1\le x^2+y^2\le 4}$ に含まれるためには、特にその頂点 $P',Q',R'$ 自身が $D$ に含まれなければならない。
解法1
点 $(x,y)$ をこの変換で $(x',y')$ に移すとすると、
$$ \begin{pmatrix} x'\ y' \end{pmatrix} ============= \begin{pmatrix} a & -b\ b & a \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x\ y \end{pmatrix} ============= \begin{pmatrix} ax-by\ bx+ay \end{pmatrix} $$
である。したがって、
$$ \begin{aligned} x'^2+y'^2 &=(ax-by)^2+(bx+ay)^2\\ &=(a^2+b^2)(x^2+y^2) \end{aligned} $$
となる。
よって、この変換は原点からの距離を
$$ \sqrt{a^2+b^2} $$
倍する変換である。
点 $P$ は円 $x^2+y^2=1$ 上にあるから、像 $P'$ は
$$ x^2+y^2=a^2+b^2 $$
上にある。三角形 $P'Q'R'$ が領域 $D$ に含まれるなら、特に $P'\in D$ であるから
$$ 1\le a^2+b^2\le 4 $$
でなければならない。
一方、点 $Q,R$ は円 $x^2+y^2=4$ 上にあるから、像 $Q',R'$ は
$$ x^2+y^2=4(a^2+b^2) $$
上にある。三角形 $P'Q'R'$ が領域 $D$ に含まれるなら、特に $Q',R'\in D$ であるから
$$ 1\le 4(a^2+b^2)\le 4 $$
すなわち
$$ \frac14\le a^2+b^2\le 1 $$
でなければならない。
以上を合わせると、
$$ 1\le a^2+b^2\le 4,\qquad \frac14\le a^2+b^2\le 1 $$
より
$$ a^2+b^2=1 $$
が必要である。
逆に、$a^2+b^2=1$ ならば
$$ x'^2+y'^2=x^2+y^2 $$
となるので、この変換は原点中心の回転である。したがって領域 $D$ はこの変換で不変であり、もとの三角形 $PQR$ が $D$ に含まれていれば、その像である三角形 $P'Q'R'$ も $D$ に含まれる。
よって、求める必要十分条件は
$$ a^2+b^2=1 $$
である。
解説
この問題の本質は、行列
$$ \begin{pmatrix} a & -b\ b & a \end{pmatrix} $$
が「回転と拡大縮小」の形になっていることを見抜くことである。
三角形全体が $D$ に入るかどうかを直接調べる必要はない。三角形が領域に含まれるなら、その頂点も必ず領域に含まれるから、$P',Q',R'$ の半径だけを見れば十分である。
特に、$P$ は半径 $1$ の円上、$Q,R$ は半径 $2$ の円上にあるので、同じ倍率で拡大縮小した後も両方とも $D$ に残るためには、倍率が $1$ であるしかない。
答え
求める $a,b$ の必要十分条件は
$$ a^2+b^2=1 $$
である。
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