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東京大学 2015年 文系 第3問 解説

数学1/図形計量数学2/三角関数テーマ/接線・法線テーマ/最大・最小テーマ/図形総合
東京大学 2015年 文系 第3問 解説

方針・初手

円の外部から引いた2本の接線の長さが等しいという図形的性質に着目する。直線 $l$ の偏角を $\theta$ とおき、$r_1$ と $r_2$ を $\theta$(または $\tan\frac{\theta}{2}$)を用いて表す方針が計算量が少なく簡明である。あるいは、円の中心座標を設定し、点と直線の距離の公式から関係式を導く代数的なアプローチも可能である。

解法1

直線 $l$ が $x$ 軸の正の向きとなす角を $\theta$ とおく。直線 $l$ の傾きは正であるから、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ である。

円 $C_1, C_2$ と直線 $l$ の接点を $P$ とおく。 原点 $O$ から円 $C_1$ に引いた接線は $x$ 軸と直線 $l$ であり、接点はそれぞれ $(1, 0)$(これを点 $A$ とおく)と点 $P$ である。 円の外部の点から引いた2本の接線の長さは等しいから、$OP = OA = 1$ である。 また、円 $C_1$ の中心を $O_1$ とすると、半直線 $OO_1$ は $\angle AOP$ を2等分するから、$\angle AOO_1 = \frac{\theta}{2}$ である。 $O_1$ の座標は $(1, r_1)$ であり、直角三角形 $O A O_1$ において、$r_1 = OA \tan\frac{\theta}{2} = \tan\frac{\theta}{2}$ となる。

次に、原点 $O$ から円 $C_2$ に引いた接線は $y$ 軸と直線 $l$ である。 $y$ 軸との接点を $B$ とすると、同様に接線の長さが等しいことから、$OB = OP = 1$ である。 接点 $B$ は $y$ 軸の正の部分にあるから、$B(0, 1)$ である。 円 $C_2$ の中心を $O_2$ とすると、半直線 $OO_2$ は $\angle POB$ を2等分する。 $\angle POB = \frac{\pi}{2} - \theta$ であるから、$\angle POO_2 = \angle BOO_2 = \frac{1}{2}\left(\frac{\pi}{2} - \theta\right) = \frac{\pi}{4} - \frac{\theta}{2}$ である。 $O_2$ の座標は $(r_2, 1)$ であり、直角三角形 $O B O_2$ において、$r_2 = OB \tan\left(\frac{\pi}{4} - \frac{\theta}{2}\right) = \tan\left(\frac{\pi}{4} - \frac{\theta}{2}\right)$ となる。

ここで、$t = \tan\frac{\theta}{2}$ とおく。$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より、$0 < t < 1$ である。 $r_1 = t$ であり、加法定理より以下のように表せる。

$$ r_2 = \frac{\tan\frac{\pi}{4} - \tan\frac{\theta}{2}}{1 + \tan\frac{\pi}{4} \tan\frac{\theta}{2}} = \frac{1 - t}{1 + t} $$

求める値 $8r_1 + 9r_2$ を $t$ を用いて表すと、

$$ 8r_1 + 9r_2 = 8t + \frac{9(1 - t)}{1 + t} = 8t + \frac{-9(t + 1) + 18}{t + 1} = 8(t + 1) + \frac{18}{t + 1} - 17 $$

ここで、$t + 1 = u$ とおくと、$0 < t < 1$ より $1 < u < 2$ であり、

$$ 8r_1 + 9r_2 = 8u + \frac{18}{u} - 17 $$

$u > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、

$$ 8u + \frac{18}{u} \geqq 2\sqrt{8u \cdot \frac{18}{u}} = 2\sqrt{144} = 24 $$

よって、$8r_1 + 9r_2 \geqq 24 - 17 = 7$ となる。 等号が成立するのは、$8u = \frac{18}{u}$ すなわち $u^2 = \frac{9}{4}$ のときである。 $u > 0$ より $u = \frac{3}{2}$ であり、これは $1 < u < 2$ を満たす。 このとき、$t = u - 1 = \frac{1}{2}$ である。

直線 $l$ の傾きは $\tan\theta$ であり、

$$ \tan\theta = \frac{2\tan\frac{\theta}{2}}{1 - \tan^2\frac{\theta}{2}} = \frac{2t}{1 - t^2} = \frac{2 \cdot \frac{1}{2}}{1 - \left(\frac{1}{2}\right)^2} = \frac{1}{1 - \frac{1}{4}} = \frac{4}{3} $$

となる。したがって、$8r_1 + 9r_2$ を最小とする直線 $l$ の方程式は $y = \frac{4}{3}x$ であり、最小値は $7$ である。

解法2

直線 $l$ の方程式を $y = mx$ ($m > 0$) とおく。すなわち $mx - y = 0$ である。 円 $C_1$ は $x$ 軸と点 $(1, 0)$ で接するので、中心は $(1, r_1)$ である。 円 $C_1$ は直線 $l$ に接するので、中心 $(1, r_1)$ と直線 $mx - y = 0$ の距離は半径 $r_1$ と等しい。

$$ \frac{|m - r_1|}{\sqrt{m^2 + (-1)^2}} = r_1 $$

両辺を正の数 $\sqrt{m^2 + 1}$ で掛けて2乗すると、

$$ (m - r_1)^2 = r_1^2(m^2 + 1) $$

展開して整理する。

$$ m^2 - 2mr_1 + r_1^2 = m^2 r_1^2 + r_1^2 $$

$$ m^2(1 - r_1^2) - 2mr_1 = 0 $$

$m > 0$ より両辺を $m$ で割ると、$m(1 - r_1^2) = 2r_1$ となる。 $r_1 > 0$ であり、$1 - r_1^2 = 0$ とすると $2r_1 = 0$ となり矛盾するため、$1 - r_1^2 \neq 0$ である。 よって、$m = \frac{2r_1}{1 - r_1^2}$ と表せる。さらに $m > 0, r_1 > 0$ より $0 < r_1 < 1$ である。

次に、円 $C_1, C_2$ は直線 $l$ と同一点 $P$ で接する。 原点 $O$ から円 $C_1$ に引いた接線の長さは等しいので、$OP = 1$ である。 同様に、円 $C_2$ は $y$ 軸と接し、直線 $l$ と点 $P$ で接することから、原点 $O$ から円 $C_2$ に引いた接線の長さも等しい。 したがって、$y$ 軸との接点を $B$ とすると、$OB = OP = 1$ である。 円 $C_2$ は領域 $y \geqq 0$ に含まれるので、接点 $B$ の座標は $(0, 1)$ となり、円 $C_2$ の中心は $(r_2, 1)$ となる。 円 $C_2$ も直線 $mx - y = 0$ に接するので、中心 $(r_2, 1)$ と直線の距離は $r_2$ となる。

$$ \frac{|mr_2 - 1|}{\sqrt{m^2 + 1}} = r_2 $$

両辺を2乗して整理する。

$$ (mr_2 - 1)^2 = r_2^2(m^2 + 1) $$

$$ m^2 r_2^2 - 2mr_2 + 1 = m^2 r_2^2 + r_2^2 $$

$$ r_2^2 + 2mr_2 - 1 = 0 $$

$r_2 > 0$ より、$r_2 = -m + \sqrt{m^2 + 1}$ を得る。 ここで、$m = \frac{2r_1}{1 - r_1^2}$ を代入する。$0 < r_1 < 1$ より $1 - r_1^2 > 0$ であることに注意する。

$$ \sqrt{m^2 + 1} = \sqrt{\frac{4r_1^2}{(1 - r_1^2)^2} + 1} = \sqrt{\frac{4r_1^2 + (1 - r_1^2)^2}{(1 - r_1^2)^2}} = \sqrt{\frac{(1 + r_1^2)^2}{(1 - r_1^2)^2}} = \frac{1 + r_1^2}{1 - r_1^2} $$

したがって、$r_2$ は次のように表せる。

$$ r_2 = -\frac{2r_1}{1 - r_1^2} + \frac{1 + r_1^2}{1 - r_1^2} = \frac{1 - 2r_1 + r_1^2}{1 - r_1^2} = \frac{(1 - r_1)^2}{(1 - r_1)(1 + r_1)} = \frac{1 - r_1}{1 + r_1} $$

求める式に代入すると、

$$ 8r_1 + 9r_2 = 8r_1 + \frac{9(1 - r_1)}{1 + r_1} = 8(r_1 + 1) + \frac{18}{r_1 + 1} - 17 $$

$r_1 + 1 > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、

$$ 8(r_1 + 1) + \frac{18}{r_1 + 1} \geqq 2\sqrt{8(r_1 + 1) \cdot \frac{18}{r_1 + 1}} = 24 $$

よって、$8r_1 + 9r_2 \geqq 24 - 17 = 7$ である。 等号成立条件は $8(r_1 + 1) = \frac{18}{r_1 + 1}$ より $(r_1 + 1)^2 = \frac{9}{4}$ のときであり、$r_1 > 0$ より $r_1 = \frac{1}{2}$ である。 このとき直線の傾きは $m = \frac{2 \cdot \frac{1}{2}}{1 - \left(\frac{1}{2}\right)^2} = \frac{1}{\frac{3}{4}} = \frac{4}{3}$ となり、解法1と同じ結果を得る。

解説

原点から引いた接線の長さが等しいという性質に気づけるかが鍵となる問題である。これに気づくことで、接点の座標や円の中心の座標が容易に求まり、三角関数を用いた簡潔な立式が可能となる。後半の相加平均・相乗平均を用いた分数式の最小値問題は頻出であり、分母を1つの文字に置き換える工夫が有効である。

答え

最小となる直線 $l$ の方程式:$y = \frac{4}{3}x$ 最小値:$7$

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