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大阪大学 1993年 文系 第3問 解説

数学2/微分法数学2/図形と式数学1/方程式不等式テーマ/接線・法線
大阪大学 1993年 文系 第3問 解説

方針・初手

曲線上の接点の $x$ 座標を $t$ とおいて、接線の方程式を立てる。その接線が点 $(0, 1)$ を通るという条件から、$t$ についての方程式を導く。曲線外の点から引いた接線の本数は、この $t$ についての方程式の異なる実数解の個数と一致するため、解がちょうど2個となるような条件を考える。

解法1

接点の $x$ 座標を $t$ とおく。

曲線 $y = x^3 - ax^2$ について微分すると、

$$ y' = 3x^2 - 2ax $$

したがって、接点 $(t, t^3 - at^2)$ における接線の方程式は、

$$ y - (t^3 - at^2) = (3t^2 - 2at)(x - t) $$

整理すると、

$$ y = (3t^2 - 2at)x - 2t^3 + at^2 $$

この接線が点 $(0, 1)$ を通るので、$x = 0, y = 1$ を代入して、

$$ 1 = -2t^3 + at^2 $$

$$ 2t^3 - at^2 + 1 = 0 $$

接線がちょうど2本存在するということは、この $t$ についての3次方程式が異なる2つの実数解をもつということである。

$f(t) = 2t^3 - at^2 + 1$ とおく。3次方程式 $f(t) = 0$ が異なる2つの実数解をもつ条件は、関数 $f(t)$ が極値をもち、極大値または極小値のいずれかが $0$ になることである。

$f(t)$ を微分すると、

$$ f'(t) = 6t^2 - 2at = 2t(3t - a) $$

$f(t)$ が極値をもつ条件は、$f'(t) = 0$ が異なる2つの実数解をもつことなので、$a \neq 0$ である。このとき、$f'(t) = 0$ の解は $t = 0, \frac{a}{3}$ であり、これらで極値をとる。

ここで、$t = 0$ のときの極値は $f(0) = 1 \neq 0$ であるから、もう一方の極値が $0$ になることが必要十分条件である。すなわち、

$$ f\left(\frac{a}{3}\right) = 0 $$

これを計算すると、

$$ 2\left(\frac{a}{3}\right)^3 - a\left(\frac{a}{3}\right)^2 + 1 = 0 $$

$$ \frac{2a^3}{27} - \frac{a^3}{9} + 1 = 0 $$

$$ -\frac{a^3}{27} + 1 = 0 $$

$$ a^3 = 27 $$

$a$ は実数であるから、

$$ a = 3 $$

このとき、$t$ の方程式は $2t^3 - 3t^2 + 1 = 0$ となる。左辺を因数分解して、

$$ (t - 1)^2 (2t + 1) = 0 $$

よって、接点の $x$ 座標は $t = 1, -\frac{1}{2}$ である。

これらを接線の方程式 $y = (3t^2 - 2at)x - 2t^3 + at^2$ に代入する。切片は点 $(0, 1)$ を通ることから常に $1$ であり、$a = 3$ より傾きは $3t^2 - 6t$ である。

$t = 1$ のとき、傾きは $3 \cdot 1^2 - 6 \cdot 1 = -3$ より、接線は $y = -3x + 1$ である。

$t = -\frac{1}{2}$ のとき、傾きは $3 \left(-\frac{1}{2}\right)^2 - 6 \left(-\frac{1}{2}\right) = \frac{3}{4} + 3 = \frac{15}{4}$ より、接線は $y = \frac{15}{4}x + 1$ である。

解法2

点 $(0, 1)$ を通る条件から導かれた方程式 $2t^3 - at^2 + 1 = 0$ において、定数 $a$ を分離して考える。

$t = 0$ を代入すると $1 = 0$ となり不成立であるから、$t \neq 0$ である。両辺を $t^2$ で割って整理すると、

$$ a = 2t + \frac{1}{t^2} $$

この方程式が異なる2つの実数解をもつような $a$ の値を求める。

関数 $g(t) = 2t + \frac{1}{t^2}$ (ただし $t \neq 0$)とおき、その増減を調べる。

$$ g'(t) = 2 - \frac{2}{t^3} = \frac{2(t^3 - 1)}{t^3} = \frac{2(t - 1)(t^2 + t + 1)}{t^3} $$

すべての実数 $t$ において $t^2 + t + 1 = \left(t + \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{3}{4} > 0$ であるから、$g'(t)$ の符号は $\frac{t - 1}{t}$ の符号と一致する。

$t < 0$ の範囲では $g'(t) > 0$ より単調増加し、$0 < t < 1$ の範囲では $g'(t) < 0$ より単調減少、$t > 1$ の範囲では $g'(t) > 0$ より単調増加する。

また、極限は以下のようになる。

$$ \lim_{t \to \pm \infty} g(t) = \infty, \quad \lim_{t \to \pm 0} g(t) = \infty $$

したがって、$g(t)$ は $t = 1$ で極小値 $g(1) = 3$ をとる。

方程式の解の個数は、$y = g(t)$ のグラフと直線 $y = a$ の共有点の個数に等しい。グラフの形状から、共有点がちょうど2個になるのは、直線が極小点で接するときのみであるから、

$$ a = 3 $$

このとき、共有点の $t$ 座標は $t=1$ および、方程式 $2t + \frac{1}{t^2} = 3$ すなわち $(t-1)^2(2t+1)=0$ を解いて得られる $t = -\frac{1}{2}$ である。これらが接点の $x$ 座標となる。

以降、接線の方程式を求める手順は解法1と同様である。

解説

曲線外の点から引いた接線の本数を問う問題の典型であり、「接点の $x$ 座標を文字でおき、それが満たすべき方程式の実数解の個数を調べる」という手順が定石である。3次関数の場合、接点の $x$ 座標が決まれば接線も一意に定まるため、方程式の解の個数と接線の本数を同一視してよい。

解法1のように3次関数として極値を調べる手法は標準的だが、本問のように一次の項がない $at^2$ という形が現れた場合、解法2のように定数分離を行うと、微分が容易になり見通しが良くなることが多い。

答え

$a$ の値は $a = 3$

2本の接線の方程式は $y = -3x + 1$ および $y = \frac{15}{4}x + 1$

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