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東京大学 1981年 文系 第3問 解説

数学2/微分法数学2/積分法テーマ/接線・法線テーマ/面積・体積
東京大学 1981年 文系 第3問 解説

方針・初手

2つの放物線の共通接線を求める典型問題である。接線の方程式を立てるアプローチとしては、大きく分けて2つある。1つは、それぞれの放物線上の点における接線の方程式を微分を用いて立て、それらの係数が一致するという条件を用いる方法である。もう1つは、共通接線を $y = mx + n$ とおき、2つの放物線の方程式とそれぞれ連立したときに、どちらも重解をもつ(判別式が $0$ になる)という条件を用いる方法である。

後半の面積比を求める部分では、共通接線が2本存在し、それらが交差することに注意する。グラフの対称性を利用し、交点と接点の $x$ 座標を求めてから定積分を計算する。積分計算においては、接している条件から被積分関数が $(x - \alpha)^2$ の形に因数分解できることを活用し、計算量を減らすのが定石である。

解法1

放物線①:$y = 2x^2+1$ について、$y' = 4x$ である。 放物線①上の点 $(t, 2t^2+1)$ における接線の方程式は

$$ y - (2t^2+1) = 4t(x - t) $$

すなわち

$$ y = 4tx - 2t^2 + 1 \cdots\cdots \text{③} $$

となる。

放物線②:$y = -x^2+c$ について、$y' = -2x$ である。 放物線②上の点 $(s, -s^2+c)$ における接線の方程式は

$$ y - (-s^2+c) = -2s(x - s) $$

すなわち

$$ y = -2sx + s^2 + c \cdots\cdots \text{④} $$

となる。

直線③と直線④が一致するとき、これらは共通接線となる。傾きと $y$ 切片がそれぞれ等しいことから、

$$ 4t = -2s \cdots\cdots \text{⑤} $$

$$ -2t^2 + 1 = s^2 + c \cdots\cdots \text{⑥} $$

が成り立つ。

⑤より $s = -2t$ であり、これを⑥に代入すると

$$ -2t^2 + 1 = (-2t)^2 + c $$

$$ -2t^2 + 1 = 4t^2 + c $$

$$ 6t^2 = 1 - c $$

となる。 条件より $c < 1$ であるから $1 - c > 0$ となり、$t$ は実数として存在する。

$$ t = \pm \sqrt{\frac{1-c}{6}} $$

これを③に代入して、共通接線の方程式を得る。$y$ 切片は

$$ -2t^2 + 1 = -2 \left( \frac{1-c}{6} \right) + 1 = \frac{c-1+3}{3} = \frac{c+2}{3} $$

となるから、求める共通接線の方程式は

$$ y = \pm 4\sqrt{\frac{1-c}{6}} x + \frac{c+2}{3} $$

すなわち

$$ y = \pm \frac{2\sqrt{6(1-c)}}{3} x + \frac{c+2}{3} $$

である。

次に、面積 $S_1, S_2$ の比を求める。 以降、$t = \sqrt{\frac{1-c}{6}} > 0$ とおく。 2本の共通接線を

$$ l_1 : y = 4tx - 2t^2 + 1 \quad \text{(接点の } x \text{ 座標は } t \text{)} $$

$$ l_2 : y = -4tx - 2t^2 + 1 \quad \text{(接点の } x \text{ 座標は } -t \text{)} $$

とする。これら2直線の交点の $x$ 座標は、$4tx - 2t^2 + 1 = -4tx - 2t^2 + 1$ を解いて $x = 0$ である。 放物線①と2本の共通接線 $l_1, l_2$ は $y$ 軸に関して対称であるから、面積 $S_1$ は $x \ge 0$ の部分の面積の2倍となる。$x \ge 0$ における接線は $l_1$ であるから、

$$ \begin{aligned} S_1 &= 2 \int_{0}^{t} \left\{ (2x^2+1) - (4tx - 2t^2 + 1) \right\} dx \\ &= 2 \int_{0}^{t} (2x^2 - 4tx + 2t^2) dx \\ &= 4 \int_{0}^{t} (x-t)^2 dx \\ &= 4 \left[ \frac{1}{3} (x-t)^3 \right]_{0}^{t} \\ &= 4 \left( 0 - \left( -\frac{1}{3}t^3 \right) \right) \\ &= \frac{4}{3}t^3 \end{aligned} $$

同様に、放物線②と2本の共通接線で囲まれた面積 $S_2$ を考える。 ⑤より、接点の $x$ 座標 $s$ は $s = -2t$ および $s = 2t$ である。 $l_1$ (傾き正)と放物線②の接点の $x$ 座標が $-2t$、$l_2$ (傾き負)と放物線②の接点の $x$ 座標が $2t$ となる。 放物線②と2本の共通接線 $l_1, l_2$ も $y$ 軸に関して対称であるから、面積 $S_2$ は $x \ge 0$ の部分の面積の2倍となる。 $x \ge 0$ における接線は $l_2$ であるから、

$$ \begin{aligned} S_2 &= 2 \int_{0}^{2t} \left\{ (-4tx - 2t^2 + 1) - (-x^2+c) \right\} dx \\ &= 2 \int_{0}^{2t} (x^2 - 4tx - 2t^2 + 1 - c) dx \end{aligned} $$

ここで、⑥より $1 - c = 6t^2$ であるから、$-2t^2 + 1 - c = -2t^2 + 6t^2 = 4t^2$ となる。 よって被積分関数は $x^2 - 4tx + 4t^2 = (x-2t)^2$ と整理でき、これは $x=2t$ で接することと一致する。

$$ \begin{aligned} S_2 &= 2 \int_{0}^{2t} (x-2t)^2 dx \\ &= 2 \left[ \frac{1}{3} (x-2t)^3 \right]_{0}^{2t} \\ &= 2 \left( 0 - \left( -\frac{8}{3}t^3 \right) \right) \\ &= \frac{16}{3}t^3 \end{aligned} $$

したがって、求める値は

$$ \frac{S_1}{S_2} = \frac{\frac{4}{3}t^3}{\frac{16}{3}t^3} = \frac{1}{4} $$

解法2

共通接線は $y$ 軸に平行ではないため、その方程式を $y = mx + n$ とおくことができる。 これが放物線①に接するので、方程式 $2x^2+1 = mx+n$、すなわち

$$ 2x^2 - mx + 1 - n = 0 $$

は重解をもつ。この判別式を $D_1$ とすると、

$$ D_1 = (-m)^2 - 4 \cdot 2 \cdot (1 - n) = 0 $$

$$ m^2 - 8(1 - n) = 0 $$

よって、$n = 1 - \frac{m^2}{8} \cdots\cdots \text{⑦}$

また、直線が放物線②にも接するので、方程式 $-x^2+c = mx+n$、すなわち

$$ x^2 + mx + n - c = 0 $$

も重解をもつ。この判別式を $D_2$ とすると、

$$ D_2 = m^2 - 4(n - c) = 0 $$

$$ m^2 - 4n + 4c = 0 \cdots\cdots \text{⑧} $$

⑦を⑧に代入して $n$ を消去する。

$$ m^2 - 4\left(1 - \frac{m^2}{8}\right) + 4c = 0 $$

$$ m^2 - 4 + \frac{m^2}{2} + 4c = 0 $$

$$ \frac{3}{2}m^2 = 4(1 - c) $$

$$ m^2 = \frac{8(1-c)}{3} $$

条件 $c < 1$ より $1-c > 0$ であるから、$m$ は実数として存在し、

$$ m = \pm \sqrt{\frac{8(1-c)}{3}} = \pm \frac{2\sqrt{6(1-c)}}{3} $$

また、⑦より

$$ n = 1 - \frac{1}{8} \cdot \frac{8(1-c)}{3} = 1 - \frac{1-c}{3} = \frac{c+2}{3} $$

よって、共通接線の方程式は

$$ y = \pm \frac{2\sqrt{6(1-c)}}{3} x + \frac{c+2}{3} $$

である。

次に、面積 $S_1, S_2$ を計算する。 $m = \frac{2\sqrt{6(1-c)}}{3} > 0$ とおくと、2本の接線は $y=mx+n$ と $y=-mx+n$ であり、その交点の $x$ 座標は $0$ である。 放物線①とこれらの接線の接点の $x$ 座標は、$2x^2 \mp mx + 1 - n = 0$ の重解であるから $x = \pm \frac{m}{4}$ となる。 放物線②とこれらの接線の接点の $x$ 座標は、$x^2 \pm mx + n - c = 0$ の重解であるから $x = \mp \frac{m}{2}$ となる。

面積 $S_1$ は、$y$ 軸対称性から $x \ge 0$ の部分の面積の2倍となる。$x \ge 0$ での接線は $y = mx+n$ である。

$$ \begin{aligned} S_1 &= 2 \int_{0}^{\frac{m}{4}} \left\{ (2x^2+1) - (mx+n) \right\} dx \\ &= 2 \int_{0}^{\frac{m}{4}} 2\left(x - \frac{m}{4}\right)^2 dx \\ &= 4 \left[ \frac{1}{3}\left(x - \frac{m}{4}\right)^3 \right]_{0}^{\frac{m}{4}} \\ &= 4 \left( 0 - \left( -\frac{m^3}{192} \right) \right) \\ &= \frac{m^3}{48} \end{aligned} $$

面積 $S_2$ も、$y$ 軸対称性から $x \ge 0$ の部分の面積の2倍となる。$x \ge 0$ における接線は、接点の $x$ 座標が正となる $y = -mx+n$ である。

$$ \begin{aligned} S_2 &= 2 \int_{0}^{\frac{m}{2}} \left\{ (-mx+n) - (-x^2+c) \right\} dx \\ &= 2 \int_{0}^{\frac{m}{2}} \left(x - \frac{m}{2}\right)^2 dx \\ &= 2 \left[ \frac{1}{3}\left(x - \frac{m}{2}\right)^3 \right]_{0}^{\frac{m}{2}} \\ &= 2 \left( 0 - \left( -\frac{m^3}{24} \right) \right) \\ &= \frac{m^3}{12} \end{aligned} $$

したがって、求める比は

$$ \frac{S_1}{S_2} = \frac{\frac{m^3}{48}}{\frac{m^3}{12}} = \frac{1}{4} $$

解説

共通接線の方程式の導出は、微分係数を用いる方法(解法1)と判別式を用いる方法(解法2)のいずれも標準的であり、計算量にも大差はないため、自分にとってミスが少ない手法を選ぶとよい。 面積の計算においては、真面目に被積分関数を展開して定積分を行うと計算が煩雑になる。「放物線と接線」の差は必ず「$a(x - \text{接点の} x \text{座標})^2$」の形になることを利用し、$\int (x-\alpha)^2 dx = \frac{1}{3}(x-\alpha)^3 + C$ の積分公式を適用することで、計算ミスを大幅に減らすことができる。 なお、放物線 $y=ax^2+\cdots$ と2本の接線で囲まれる面積は、交点と接点間の $x$ 方向の距離を $d$ としたとき、$\frac{|a|}{3}d^3$ の形に比例する。本問では2つの放物線の $x^2$ の係数の絶対値の比が $2 : 1$ であり、交点から接点までの距離の比が $1 : 2$ となっていることが、面積比が $c$ に依存せず定数になる背景にある。

答え

共通接線の方程式: $y = \pm \frac{2\sqrt{6(1-c)}}{3} x + \frac{c+2}{3}$

$\frac{S_1}{S_2}$ の値: $\frac{1}{4}$

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