東京大学 1983年 文系 第3問 解説

方針・初手
3次曲線 $C$ と接線の方程式の差をとり、接点での重解を利用して因数分解した式を立てる。交点の $x$ 座標の和が直線の引き方によらず常に一定(3次方程式の解と係数の関係より導かれる性質)であることを利用し、もう一つの接線 $m$ と $C$ の交点の $x$ 座標を求める。面積計算においては、積分計算を省略できるいわゆる $\frac{1}{12}$ 公式を用いて計算量を減らす。
解法1
曲線 $C$ の方程式を $f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ とする。 点 $P$、$Q$ の $x$ 座標をそれぞれ $p$、$q$($p \neq q$)とおき、点 $P$ における接線 $l$ の方程式を $y = g_1(x)$ とする。
$l$ は $C$ 上の点 $P$ における接線であり、点 $Q$ で $C$ と交わるから、$f(x) - g_1(x) = 0$ は $x = p$ で重解をもち、$x = q$ を解にもつ。 $f(x) - g_1(x)$ は $x^3$ の係数が $1$ の3次式であるから、次のように因数分解できる。
$$ f(x) - g_1(x) = (x-p)^2(x-q) $$
この式の両辺を展開したときの $x^2$ の係数を比較する。左辺の $x^2$ の係数は $a$ であるから、以下の関係が成り立つ。
$$ a = -(2p + q) $$
$l$ と $C$ で囲まれた部分の面積を $S_1$ とすると、$S_1$ は次のように計算できる。
$$ S_1 = \int_{p}^{q} |f(x) - g_1(x)| dx = \frac{(q-p)^4}{12} $$
(※ $p$ と $q$ の大小にかかわらず、4乗されるため符号は正となり成立する)
次に、点 $Q$ における接線 $m$ の方程式を $y = g_2(x)$ とし、$m$ と $C$ の交点のうち $Q$ と異なる点 $R$ の $x$ 座標を $r$ とする。 先ほどと同様に、$f(x) - g_2(x) = 0$ は $x = q$ で重解をもち、$x = r$ を解にもつため、次のように表せる。
$$ f(x) - g_2(x) = (x-q)^2(x-r) $$
両辺の $x^2$ の係数を比較すると、以下のようになる。
$$ a = -(2q + r) $$
$a$ を消去して $p$、$q$、$r$ の関係を求めると、次のようになる。
$$ -(2p + q) = -(2q + r) $$
$$ r = 2p - q $$
$m$ と $C$ で囲まれた部分の面積を $S_2$ とすると、$S_1$ のときと同様に次のように計算できる。
$$ S_2 = \frac{(r-q)^4}{12} $$
ここで、$r-q$ を $p$、$q$ を用いて表すと、以下のようになる。
$$ r - q = (2p - q) - q = -2(q - p) $$
これを $S_2$ の式に代入する。
$$ S_2 = \frac{\{-2(q-p)\}^4}{12} = \frac{16(q-p)^4}{12} $$
これより、$S_1$ と $S_2$ の面積の比は次のようになる。
$$ S_1 : S_2 = \frac{(q-p)^4}{12} : \frac{16(q-p)^4}{12} = 1 : 16 $$
この比は点 $P$ の位置や曲線 $C$ の係数によらず $1:16$ で一定となる。
解説
3次曲線 $y=f(x)$ と直線 $y=g(x)$ の交点を求める際、$f(x)-g(x)=0$ という3次方程式を考えることになる。直線 $g(x)$ が1次以下の式である場合、$x^3$ と $x^2$ の係数は元の $f(x)$ のものと一致する。したがって、解と係数の関係より「3交点の $x$ 座標の和は、直線の引き方によらず一定($-a$)」となる。この性質を利用すると、接線を引き直した際の新たな交点の $x$ 座標を極めて簡潔に求めることができる。
また、3次曲線と接線が囲む面積は $\int (x-\alpha)^2(\beta-x) dx$ の形になり $\frac{1}{12}$ 公式に帰着する。交点の $x$ 座標の差(区間の幅)の比が $|q-p| : |r-q| = 1:2$ であることが分かれば、面積比はその4乗の $1:16$ になることが直ちにわかる。
答え
$l$ と $C$ で囲まれた面積と、$m$ と $C$ で囲まれた面積の比は $1:16$ である。
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