東京大学 1981年 理系 第3問 解説

方針・初手
点 $Q$ における法線の方程式を直接求めてから点 $P$ を設定するよりも、法線ベクトルを利用して点 $P$ の座標をベクトルで表す方が計算の見通しが良い。条件 (ハ) の距離からパラメータの絶対値を求め、条件 (ロ) の領域に含まれるという不等式からパラメータの符号を確定させ、点 $P$ の軌跡 $C'$ の媒介変数表示を導く。最後に $C$ と $C'$ の上下関係を把握して面積を計算する。
解法1
放物線 $C: y = x^2$ について $y' = 2x$ であるから、点 $Q(t, t^2)$ における接線の方向ベクトルとして $(1, 2t)$ がとれる。 これに垂直な法線の方向ベクトルとして、$\vec{n} = (-2t, 1)$ をとる。
条件 (イ) より、点 $P$ は $Q$ を通り $\vec{n}$ に平行な直線上にあるため、実数 $k$ を用いて
$$ \vec{OP} = \vec{OQ} + k\vec{n} = (t - 2tk, t^2 + k) $$
と表せる。すなわち、 $P$ の座標を $(X, Y)$ とすると
$$ X = t - 2tk, \quad Y = t^2 + k $$
である。
条件 (ハ) より、 $P$ と $Q$ の距離 $PQ$ は
$$ PQ = |\vec{PQ}| = |-k\vec{n}| = |k| \sqrt{4t^2 + 1} $$
となる。これが $(t - t^2) \sqrt{1 + 4t^2}$ に等しいことから、
$$ |k| \sqrt{4t^2 + 1} = (t - t^2) \sqrt{1 + 4t^2} $$
$$ |k| = t - t^2 $$
$0 \leqq t \leqq 1$ において $t - t^2 \geqq 0$ であるから、$k = \pm(t - t^2)$ を得る。
次に、条件 (ロ) より $P$ は領域 $y \geqq x^2$ に含まれるため、$Y \geqq X^2$ を満たす。
$$ t^2 + k \geqq (t - 2tk)^2 $$
$$ t^2 + k \geqq t^2 - 4t^2k + 4t^2k^2 $$
$$ k(1 + 4t^2 - 4t^2k) \geqq 0 $$
ここで、$0 < t < 1$ において $k = -(t - t^2)$ と仮定すると、$k < 0$ となる。 このとき、
$$ 1 + 4t^2 - 4t^2k = 1 + 4t^2(1 - k) > 0 $$
であるから、$k(1 + 4t^2 - 4t^2k) < 0$ となり矛盾する。 したがって、$k = t - t^2$ でなければならない。 このとき、$k \geqq 0$ であり、
$$ 1 + 4t^2 - 4t^2k = 1 + 4t^2(1 - t + t^2) = 1 + 4t^2 \left\{ \left(t - \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{3}{4} \right\} > 0 $$
となるため、常に条件を満たす($t=0, 1$ のときも成立する)。 よって、点 $P$ の座標は
$$ X = t - 2t(t - t^2) = 2t^3 - 2t^2 + t $$
$$ Y = t^2 + (t - t^2) = t $$
となり、曲線 $C'$ は媒介変数 $t$ を用いて $(x, y) = (2t^3 - 2t^2 + t, t) \quad (0 \leqq t \leqq 1)$ と表される。
$C'$ の $x$ 座標の増減を調べると、
$$ \frac{dx}{dt} = 6t^2 - 4t + 1 = 6 \left(t - \frac{1}{3}\right)^2 + \frac{1}{3} > 0 $$
であるから、$x$ は単調に増加し、$t=0$ で $x=0$、$t=1$ で $x=1$ となる。 条件 (ロ) より $C'$ は $C$ ($y = x^2$) の上側にあることが保証されているため、囲まれた部分の面積 $S$ は
$$ S = \int_{0}^{1} y_{C'} dx - \int_{0}^{1} x^2 dx $$
として計算できる。第1項は $x$ と $t$ の関係を用いて置換積分すると、
$$ \int_{0}^{1} y_{C'} dx = \int_{0}^{1} t (6t^2 - 4t + 1) dt $$
$$ = \int_{0}^{1} (6t^3 - 4t^2 + t) dt $$
$$ = \left[ \frac{3}{2}t^4 - \frac{4}{3}t^3 + \frac{1}{2}t^2 \right]_{0}^{1} $$
$$ = \frac{3}{2} - \frac{4}{3} + \frac{1}{2} = \frac{2}{3} $$
となる。また、第2項は
$$ \int_{0}^{1} x^2 dx = \left[ \frac{1}{3}x^3 \right]_{0}^{1} = \frac{1}{3} $$
であるから、求める面積 $S$ は
$$ S = \frac{2}{3} - \frac{1}{3} = \frac{1}{3} $$
解説
法線上の点の座標は、法線ベクトルを定めて実数倍で表現すると見通しよく処理できる。距離の条件からパラメータの絶対値が決まり、領域の条件から符号が確定するという流れは軌跡問題の定石である。 面積計算については、媒介変数で表された曲線の積分として標準的な $x$ 軸方向の積分を行ったが、$C'$ の式において $y=t$ であることに着目し、$x = 2y^3 - 2y^2 + y$ として $y$ 軸方向の積分 $\int_{0}^{1} \{ \sqrt{y} - (2y^3 - 2y^2 + y) \} dy$ を行うと、置換積分を回避してより簡潔に計算することも可能である。
答え
$$ \frac{1}{3} $$
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