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東京大学 1987年 文系 第2問 解説

数学2/微分法数学2/積分法テーマ/接線・法線テーマ/面積・体積
東京大学 1987年 文系 第2問 解説

方針・初手

関数 $f(x)$ を微分して増減を調べ、極大値をとる $x$ の値 $b$ を求める。 次に、極大点 $(b, f(b))$ における接線の方程式を求め、その接線と曲線 $C$ のもう一つの交点の $x$ 座標を計算する。 最後に、接線と曲線で囲まれた領域の上下関係を把握し、定積分を用いて面積を求める。

解法1

関数 $f(x) = x^3 - ax^2 - a^2x$ を $x$ で微分すると、

$$ f'(x) = 3x^2 - 2ax - a^2 = (3x + a)(x - a) $$

$f'(x) = 0$ とすると、$x = -\frac{a}{3}, a$ である。

$a$ は正の定数であるから、$-\frac{a}{3} < a$ であり、$f(x)$ の導関数の符号は以下のようになる。 $x < -\frac{a}{3}$ のとき $f'(x) > 0$ $-\frac{a}{3} < x < a$ のとき $f'(x) < 0$ $x > a$ のとき $f'(x) > 0$

したがって、$f(x)$ は $x = -\frac{a}{3}$ で極大となる。 題意より極大となる $x$ の値が $b$ であるから、$b = -\frac{a}{3}$ である。

点 $(b, f(b))$ における $C$ の接線を $\ell$ とする。 点 $(b, f(b))$ は極大点であるため、接線 $\ell$ の傾きは $0$ であり、その方程式は $y = f(b)$ となる。

次に、接線 $\ell$ と曲線 $C$ の共有点の $x$ 座標を求める。 これは方程式 $f(x) = f(b)$ の解である。

$$ x^3 - ax^2 - a^2x - f(b) = 0 $$

$x = b$ は接点の $x$ 座標であるから、この $3$ 次方程式は $(x - b)^2$ を因数にもち、次のように因数分解できるはずである。もう一つの解を $c$ とすると、解と係数の関係(3つの解の和)より、

$$ b + b + c = a $$

が成り立つ。$b = -\frac{a}{3}$ を代入すると、

$$ -\frac{2}{3}a + c = a $$

$$ c = \frac{5}{3}a $$

これより、接線 $\ell$ と曲線 $C$ のもう一つの交点の $x$ 座標は $x = \frac{5}{3}a$ である。

区間 $-\frac{a}{3} \leqq x \leqq \frac{5}{3}a$ において、$\ell$ と $C$ の位置関係は $\ell$ が $C$ の上側(または一致)にある。 求める面積 $S$ は次の定積分で計算できる。

$$ S = \int_{-\frac{a}{3}}^{\frac{5}{3}a} \{f(b) - f(x)\} dx $$

被積分関数は $-(x - b)^2(x - c)$ と因数分解できるため、

$$ S = \int_{-\frac{a}{3}}^{\frac{5}{3}a} \left(x + \frac{a}{3}\right)^2 \left(\frac{5}{3}a - x\right) dx $$

被積分関数を $x + \frac{a}{3}$ のかたまりを作るように展開して積分する。

$$ S = \int_{-\frac{a}{3}}^{\frac{5}{3}a} \left(x + \frac{a}{3}\right)^2 \left\{ 2a - \left(x + \frac{a}{3}\right) \right\} dx $$

$$ S = \int_{-\frac{a}{3}}^{\frac{5}{3}a} \left\{ 2a\left(x + \frac{a}{3}\right)^2 - \left(x + \frac{a}{3}\right)^3 \right\} dx $$

$$ S = \left[ \frac{2a}{3}\left(x + \frac{a}{3}\right)^3 - \frac{1}{4}\left(x + \frac{a}{3}\right)^4 \right]_{-\frac{a}{3}}^{\frac{5}{3}a} $$

上の端 $x = \frac{5}{3}a$ を代入すると $x + \frac{a}{3} = 2a$ となり、下の端 $x = -\frac{a}{3}$ を代入すると $0$ となるため、

$$ S = \frac{2a}{3} (2a)^3 - \frac{1}{4} (2a)^4 $$

$$ S = \frac{16}{3}a^4 - \frac{16}{4}a^4 = \left(\frac{16}{3} - 4\right)a^4 = \frac{4}{3}a^4 $$

解説

3次関数の極値の条件と、接線と曲線で囲まれた面積を求める標準的な問題である。 極大点での接線は傾きが $0$ になること、またその接線と曲線の交点を求める際に「解と係数の関係」や「恒等式の係数比較」を用いると、計算の負担とミスを大きく減らすことができる。 面積の計算においては、積分区間が接点と交点であるため、公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)^2 (\beta - x) dx = \frac{(\beta - \alpha)^4}{12}$ を用いることが可能である。記述式答案の場合は、解答例のように積分変数を工夫して原始関数を求める過程を見せるとより確実である。

答え

$$ \frac{4}{3}a^4 $$

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