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東京大学 2011年 文系 第1問 解説

数学2/微分法数学2/積分法テーマ/最大・最小
東京大学 2011年 文系 第1問 解説

方針・初手

与えられた3つの条件から、3次関数 $f(x)$ の係数 $a, b, c, d$ のうち3つを消去し、1つの文字(ここでは $a$ とする)のみで表す。 その後、$f''(x)$ を計算して定積分 $I$ を $a$ の2次関数として表し、平方完成によって最小値を求める。

解法1

$f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ より、条件 $f(1) = 1, f(-1) = -1$ を用いると、以下の関係式が得られる。

$$ a + b + c + d = 1 $$

$$ -a + b - c + d = -1 $$

上の2式の辺々を足し合わせると、

$$ 2b + 2d = 0 \iff d = -b $$

上の2式の辺々を引き算すると、

$$ 2a + 2c = 2 \iff c = 1 - a $$

次に、3つ目の条件である定積分の式を計算する。$d = -b$ を用いると、

$$ \int_{-1}^1 (bx^2 + cx + d)dx = \int_{-1}^1 (bx^2 + cx - b)dx $$

ここで、積分区間が $-1$ から $1$ まで対称であるため、奇関数である $cx$ の積分は $0$ になることを利用する。

$$ \int_{-1}^1 (bx^2 + cx - b)dx = 2 \int_0^1 (bx^2 - b)dx $$

$$ = 2 \left[ \frac{b}{3}x^3 - bx \right]_0^1 = 2 \left( \frac{b}{3} - b \right) = -\frac{4}{3}b $$

これが $1$ に等しいので、

$$ -\frac{4}{3}b = 1 \iff b = -\frac{3}{4} $$

$d = -b$ より、

$$ d = \frac{3}{4} $$

これらを $f(x)$ の式に代入すると、$f(x)$ は $a$ のみを用いて次のように表される。

$$ f(x) = ax^3 - \frac{3}{4}x^2 + (1 - a)x + \frac{3}{4} $$

次に、定積分 $I$ を計算するために $f''(x)$ を求める。

$$ f'(x) = 3ax^2 - \frac{3}{2}x + 1 - a $$

$$ f''(x) = 6ax - \frac{3}{2} $$

これを用いて $I$ を計算する。

$$ I = \int_{-1}^{\frac{1}{2}} \{f''(x)\}^2 dx = \int_{-1}^{\frac{1}{2}} \left( 6ax - \frac{3}{2} \right)^2 dx $$

被積分関数を展開して積分する。

$$ \int_{-1}^{\frac{1}{2}} \left( 36a^2x^2 - 18ax + \frac{9}{4} \right) dx = \left[ 12a^2x^3 - 9ax^2 + \frac{9}{4}x \right]_{-1}^{\frac{1}{2}} $$

上限 $\frac{1}{2}$ を代入した値から、下限 $-1$ を代入した値を引く。

$$ = \left\{ 12a^2 \left(\frac{1}{8}\right) - 9a \left(\frac{1}{4}\right) + \frac{9}{4} \left(\frac{1}{2}\right) \right\} - \left\{ 12a^2 (-1) - 9a (1) + \frac{9}{4} (-1) \right\} $$

$$ = \left( \frac{3}{2}a^2 - \frac{9}{4}a + \frac{9}{8} \right) - \left( -12a^2 - 9a - \frac{9}{4} \right) $$

$$ = \frac{27}{2}a^2 + \frac{27}{4}a + \frac{27}{8} $$

得られた $a$ の2次関数を平方完成し、最小値を求める。

$$ I = \frac{27}{2} \left( a^2 + \frac{1}{2}a \right) + \frac{27}{8} $$

$$ = \frac{27}{2} \left( a + \frac{1}{4} \right)^2 - \frac{27}{2} \cdot \frac{1}{16} + \frac{27}{8} $$

$$ = \frac{27}{2} \left( a + \frac{1}{4} \right)^2 - \frac{27}{32} + \frac{108}{32} $$

$$ = \frac{27}{2} \left( a + \frac{1}{4} \right)^2 + \frac{81}{32} $$

したがって、$I$ は $a = -\frac{1}{4}$ のとき、最小値 $\frac{81}{32}$ をとる。

このときの $f(x)$ は、先ほど求めた係数の式に $a = -\frac{1}{4}$ を代入して得られる。

$$ c = 1 - \left(-\frac{1}{4}\right) = \frac{5}{4} $$

よって、$f(x)$ は以下のように定まる。

$$ f(x) = -\frac{1}{4}x^3 - \frac{3}{4}x^2 + \frac{5}{4}x + \frac{3}{4} $$

解説

与えられた複数の条件から係数を絞り込み、残った変数の関数として目的の値を立式する、数学IIの微積分における標準的な問題である。 定積分 $\int_{-1}^1 (bx^2 + cx + d)dx$ の計算では、積分区間が対称であることを利用して奇関数の項 ($cx$) を消去すると、計算を簡略化できる。 最後の $I$ の計算では、展開せずに積分公式 $\int (px+q)^2 dx = \frac{1}{3p}(px+q)^3 + C$ を用いることも可能だが、$p$ に相当する $6a$ が $0$ になる場合との場合分けが必要となるため、本解法のように展開してから積分する方が安全かつ確実である。

答え

条件を満たし $I$ を最小にする $f(x)$ は、

$$ f(x) = -\frac{1}{4}x^3 - \frac{3}{4}x^2 + \frac{5}{4}x + \frac{3}{4} $$

そのときの $I$ の値は、

$$ \frac{81}{32} $$

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