東京大学 2013年 文系 第1問 解説

方針・初手
曲線 $C$ と直線 $l$ の方程式から $y$ を消去し、共有点の $x$ 座標を求めるための3次方程式を立てる。原点 $O$ で交わることは自明であるため、$x=0$ 以外の解を与える2次方程式を導き、これが実数解をもつ条件から $t$ の定義域を定める。 その後、解と係数の関係を利用して $|\overrightarrow{OP}|$ と $|\overrightarrow{OQ}|$ の積 $g(t)$ を $t$ の式で表し、微分を用いて増減を調べる。
解法1
曲線 $C: y = x(x-1)(x-3) = x^3 - 4x^2 + 3x$ と直線 $l: y = tx$ の共有点の $x$ 座標は、
$$ x^3 - 4x^2 + 3x = tx $$
$$ x(x^2 - 4x + 3 - t) = 0 $$
を満たす。$x=0$ は原点 $O$ に対応する。 $C$ と $l$ が $O$ 以外に共有点をもつ条件は、2次方程式
$$ x^2 - 4x + 3 - t = 0 \quad \cdots (1) $$
が実数解をもつことである。 方程式(1)の判別式を $D$ とすると、
$$ \frac{D}{4} = (-2)^2 - (3 - t) = t + 1 \ge 0 $$
よって、$t \ge -1$ である。これが $g(t)$ の定義域となる。
方程式(1)の2つの実数解を $\alpha, \beta$ とすると(重解の場合は $\alpha = \beta$)、これらは点 $P, Q$ の $x$ 座標である。 点 $P, Q$ は直線 $l: y=tx$ 上にあるため、$P(\alpha, t\alpha), Q(\beta, t\beta)$ と表せる。 それぞれの線分の長さは、
$$ |\overrightarrow{OP}| = \sqrt{\alpha^2 + (t\alpha)^2} = \sqrt{1+t^2}|\alpha| $$
$$ |\overrightarrow{OQ}| = \sqrt{\beta^2 + (t\beta)^2} = \sqrt{1+t^2}|\beta| $$
となる。したがって、$g(t)$ は
$$ g(t) = |\overrightarrow{OP}||\overrightarrow{OQ}| = (1+t^2)|\alpha\beta| $$
と表される。 方程式(1)における解と係数の関係より、$\alpha\beta = 3-t$ であるから、
$$ g(t) = (1+t^2)|3-t| $$
を得る。 次に、$g(t)$ の増減を調べる。
(i)
$-1 \le t \le 3$ のとき
絶対値の中身は $3-t \ge 0$ であるから、
$$ g(t) = (1+t^2)(3-t) = -t^3 + 3t^2 - t + 3 $$
これを $t$ で微分すると、
$$ g'(t) = -3t^2 + 6t - 1 $$
$g'(t) = 0$ となる $t$ の値は、
$$ t = \frac{-3 \pm \sqrt{3^2 - (-3)(-1)}}{-3} = 1 \pm \frac{\sqrt{6}}{3} $$
これらはともに $-1 \le t \le 3$ の範囲にある。
(ii)
$t > 3$ のとき
絶対値の中身は $3-t < 0$ であるから、
$$ g(t) = (1+t^2)(t-3) = t^3 - 3t^2 + t - 3 $$
これを $t$ で微分すると、
$$ g'(t) = 3t^2 - 6t + 1 $$
$t > 3$ の範囲において、
$$ g'(t) = 3(t-1)^2 - 2 > 3(3-1)^2 - 2 = 10 > 0 $$
となり、$g(t)$ は単調に増加する。
以上より、$g(t)$ の増減表は次のようになる。
| $t$ | $-1$ | $\cdots$ | $1-\frac{\sqrt{6}}{3}$ | $\cdots$ | $1+\frac{\sqrt{6}}{3}$ | $\cdots$ | $3$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $g'(t)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $0$ | $-$ | $+$ | ||
| $g(t)$ | $8$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | $0$ | $\nearrow$ |
ここで、極値を計算する。 $t = 1 \pm \frac{\sqrt{6}}{3}$ は $g'(t) = -3t^2 + 6t - 1 = 0$ の解である。 $g(t)$ を $g'(t)$ で割って次数を下げる変形を行うと、
$$ g(t) = \frac{1}{3}(t-1)(-3t^2+6t-1) + \frac{4}{3}t + \frac{8}{3} = \frac{1}{3}(t-1)g'(t) + \frac{4}{3}(t+2) $$
と表せる。 したがって、$g'(t)=0$ を満たす $t$ については、
$$ g(t) = \frac{4}{3}(t+2) $$
となる。 これに $t = 1 \pm \frac{\sqrt{6}}{3}$ を代入すると、
$$ g\left(1 \pm \frac{\sqrt{6}}{3}\right) = \frac{4}{3}\left(3 \pm \frac{\sqrt{6}}{3}\right) = 4 \pm \frac{4\sqrt{6}}{9} \quad \text{(複号同順)} $$
また、増減表より $t=3$ において $g(t)$ は極小値 $g(3) = 0$ をとる。
解説
解と係数の関係を利用して、線分の長さの積を解 $\alpha, \beta$ を直接求めずに簡潔に表現する手法が鍵となる。共有点の座標を解の公式で直接求めてから長さを計算しようとすると根号が複雑に絡み計算量が膨大になってしまうため、対称式として処理する意識が重要である。 また、絶対値を含む関数の微分においては、絶対値の中身の正負によって場合分けを行い、導関数の符号変化(特に $t=3$ の前後)を正しく捉えて増減表を完成させるという流れを押さえておきたい。
答え
$g(t)$ は
- $-1 \leqq t \leqq 1 - \frac{\sqrt{6}}{3}$ で減少
- $1 - \frac{\sqrt{6}}{3} \leqq t \leqq 1 + \frac{\sqrt{6}}{3}$ で増加
- $1 + \frac{\sqrt{6}}{3} \leqq t \leqq 3$ で減少
- $t \geqq 3$ で増加
極大値は
$$ 4 + \frac{4\sqrt{6}}{9} \quad \left( t = 1 + \frac{\sqrt{6}}{3} \text{ のとき} \right) $$
極小値は
$$ 4 - \frac{4\sqrt{6}}{9} \quad \left( t = 1 - \frac{\sqrt{6}}{3} \text{ のとき} \right) $$
および
$$ 0 \quad \left( t = 3 \text{ のとき} \right) $$
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