東京大学 2017年 文系 第2問 解説

方針・初手
点 $P$ と $Q$ がそれぞれ独立に線分上を動くため、2つの独立変数(パラメータ)を用いて点 $R$ の位置を数式で表すことが第一歩となる。 正六角形の性質を活かし、特定の2つのベクトルを基底として用いるか、座標平面上に配置して成分計算を行う方針が有効である。最終的にパラメータの存在条件から点 $R$ の存在範囲を図示し、その面積を計算する。
解法1
$\vec{AB} = \vec{b}$, $\vec{AF} = \vec{f}$ とする。
正六角形の1つの内角は $120^\circ$ であるから、$|\vec{b}| = 1$, $|\vec{f}| = 1$, $\vec{b} \cdot \vec{f} = 1 \cdot 1 \cdot \cos 120^\circ = -\frac{1}{2}$ である。
正六角形の性質より、$\vec{BC} = \vec{b} + \vec{f}$, $\vec{CD} = \vec{f}$ と表せる。
よって、
$$ \vec{AC} = \vec{AB} + \vec{BC} = 2\vec{b} + \vec{f} $$
点 $P$ は辺 $AB$ 上にあるので、実数 $s$ を用いて
$$ \vec{AP} = s\vec{b} \quad (0 \leqq s \leqq 1) $$
と表せる。
点 $Q$ は辺 $CD$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて $\vec{CQ} = t\vec{CD} = t\vec{f} \quad (0 \leqq t \leqq 1)$ となり、
$$ \vec{AQ} = \vec{AC} + \vec{CQ} = 2\vec{b} + (1+t)\vec{f} \quad (0 \leqq t \leqq 1) $$
と表せる。
点 $R$ は線分 $PQ$ を $2:1$ に内分する点であるから、
$$ \vec{AR} = \frac{\vec{AP} + 2\vec{AQ}}{3} = \frac{s\vec{b} + 2\{2\vec{b} + (1+t)\vec{f}\}}{3} = \frac{s+4}{3}\vec{b} + \frac{2(1+t)}{3}\vec{f} $$
これを変形すると、
$$ \vec{AR} = \left( \frac{4}{3}\vec{b} + \frac{2}{3}\vec{f} \right) + s\left( \frac{1}{3}\vec{b} \right) + t\left( \frac{2}{3}\vec{f} \right) $$
定点 $K$ を $\vec{AK} = \frac{4}{3}\vec{b} + \frac{2}{3}\vec{f}$ を満たす点として定めると、
$$ \vec{KR} = s\left( \frac{1}{3}\vec{b} \right) + t\left( \frac{2}{3}\vec{f} \right) \quad (0 \leqq s \leqq 1, \quad 0 \leqq t \leqq 1) $$
したがって、点 $R$ の存在範囲は、点 $K$ を頂点の1つとし、$\frac{1}{3}\vec{b}$ と $\frac{2}{3}\vec{f}$ を隣り合う2辺とする平行四辺形の周および内部である。
求める面積 $S$ は、この平行四辺形の面積であるから、
$$ S = \left| \frac{1}{3}\vec{b} \right| \left| \frac{2}{3}\vec{f} \right| \sin 120^\circ = \frac{1}{3} \cdot \frac{2}{3} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{\sqrt{3}}{9} $$
解法2
点 $A$ を原点 $(0,0)$ とし、点 $B$ が $x$ 軸の正の部分にくるように座標軸を設定する。
正六角形の1辺の長さは $1$、内角は $120^\circ$ なので、$A(0,0)$, $B(1,0)$ となる。
また、$\vec{AF}$ は $x$ 軸正の向きと $120^\circ$ の角をなす長さ $1$ のベクトルなので、
$$ \vec{AF} = \left( \cos 120^\circ, \sin 120^\circ \right) = \left( -\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2} \right) $$
である。同様に $\vec{BC}$ は $x$ 軸正の向きと $60^\circ$ の角をなすので、
$$ \vec{BC} = \left( \cos 60^\circ, \sin 60^\circ \right) = \left( \frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2} \right) $$
したがって、点 $C$ の座標は $\vec{AC} = \vec{AB} + \vec{BC} = \left( \frac{3}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2} \right)$ より $C\left( \frac{3}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2} \right)$ である。
また正六角形において $\vec{CD} = \vec{AF} = \left( -\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2} \right)$ である。
点 $P$ は辺 $AB$ 上にあるので、$P(s, 0) \quad (0 \leqq s \leqq 1)$ とおける。
点 $Q$ は辺 $CD$ 上にあるので、$0 \leqq t \leqq 1$ を満たす実数 $t$ を用いて $\vec{AQ} = \vec{AC} + t\vec{CD}$ より
$$ Q\left( \frac{3-t}{2}, \frac{\sqrt{3}(1+t)}{2} \right) $$
とおける。
点 $R(x, y)$ は線分 $PQ$ を $2:1$ に内分する点であるから、
$$ x = \frac{s + 2 \cdot \frac{3-t}{2}}{3} = \frac{s - t + 3}{3} $$
$$ y = \frac{0 + 2 \cdot \frac{\sqrt{3}(1+t)}{2}}{3} = \frac{\sqrt{3}(1+t)}{3} $$
これらから $s, t$ を $x, y$ で表す。
$y$ の式から $t = \sqrt{3}y - 1$ となり、これを $x$ の式に代入すると
$$ 3x = s - (\sqrt{3}y - 1) + 3 \iff s = 3x + \sqrt{3}y - 4 $$
$s, t$ のとりうる値の範囲は $0 \leqq s \leqq 1$ かつ $0 \leqq t \leqq 1$ であるから、
$$ 0 \leqq 3x + \sqrt{3}y - 4 \leqq 1 \iff 4 \leqq 3x + \sqrt{3}y \leqq 5 $$
$$ 0 \leqq \sqrt{3}y - 1 \leqq 1 \iff \frac{1}{\sqrt{3}} \leqq y \leqq \frac{2}{\sqrt{3}} $$
この不等式が表す領域が、点 $R$ の通りうる範囲である。
この領域は、$x$ 軸に平行な底辺を持つ平行四辺形とみなすことができる。
ある $y$ (ただし $\frac{1}{\sqrt{3}} \leqq y \leqq \frac{2}{\sqrt{3}}$)を固定したとき、$x$ のとりうる範囲は
$$ \frac{4 - \sqrt{3}y}{3} \leqq x \leqq \frac{5 - \sqrt{3}y}{3} $$
であり、その線分の長さ(横幅)は $\frac{5 - \sqrt{3}y}{3} - \frac{4 - \sqrt{3}y}{3} = \frac{1}{3}$ で一定である。
高さにあたる $y$ の範囲の長さは $\frac{2}{\sqrt{3}} - \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{1}{\sqrt{3}}$ である。
したがって、求める領域の面積 $S$ は
$$ S = \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{9} $$
解説
2つの点が独立に動く軌跡・領域の問題では、2つの独立変数(パラメータ)を設定して、求める点の座標や位置ベクトルを立式することが定石である。 本問では、ベクトルを用いると領域の形状(平行四辺形)とその辺の長さ、なす角がダイレクトに読み取れるため、非常に見通しが良い。 一方、座標平面を設定して成分で計算する方法も、最終的な領域が連立不等式で明確に表されるため確実である。カヴァリエリの原理(等積変形)の考え方を用いると、積分計算をせずとも面積を容易に求められる。
答え
$$ \frac{\sqrt{3}}{9} $$
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