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東京大学 1962年 理系 第4問 解説

数学B/数列数学3/極限テーマ/場合分け
東京大学 1962年 理系 第4問 解説

方針・初手

与えられた無限級数の一般項の形に注目し、部分分数分解(階差の形)を利用して部分和を求めることを目標とする。

各項の分母が $1 - r^2$, $1 - r^4$, $1 - r^8$, $\dots$ と指数が $2$ 倍ずつ増えていく形をしている。ここで、$\frac{1}{1-x} - \frac{1}{1-x^2}$ を計算すると $\frac{x}{1-x^2}$ となる性質を利用し、各項を $2$ つの分数の差に変形して和を相殺させる(望遠鏡和)。

その後、条件 $|r| \neq 1$ に従って場合分けを行い、部分和の極限を計算する。

解法1

求める無限級数の第 $n$ 項までの部分和を $S_n$ とおく。

第 $k$ 項 $(k = 1, 2, 3, \dots)$ は $\frac{r^{2^{k-1}}}{1-r^{2^k}}$ である。

ここで、恒等式

$$ \frac{1}{1-x} - \frac{1}{1-x^2} = \frac{(1+x)-1}{1-x^2} = \frac{x}{1-x^2} $$

において、$x = r^{2^{k-1}}$ を代入すると、

$$ \frac{1}{1-r^{2^{k-1}}} - \frac{1}{1-r^{2^k}} = \frac{r^{2^{k-1}}}{1-r^{2^k}} $$

が成り立つ。これを用いると、各項は次のように変形できる。

第 $1$ 項:$\frac{r}{1-r^2} = \frac{1}{1-r} - \frac{1}{1-r^2}$

第 $2$ 項:$\frac{r^2}{1-r^4} = \frac{1}{1-r^2} - \frac{1}{1-r^4}$

第 $3$ 項:$\frac{r^4}{1-r^8} = \frac{1}{1-r^4} - \frac{1}{1-r^8}$

$\vdots$

第 $n$ 項:$\frac{r^{2^{n-1}}}{1-r^{2^n}} = \frac{1}{1-r^{2^{n-1}}} - \frac{1}{1-r^{2^n}}$

したがって、部分和 $S_n$ は次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} S_n &= \sum_{k=1}^n \left( \frac{1}{1-r^{2^{k-1}}} - \frac{1}{1-r^{2^k}} \right) \\ &= \left( \frac{1}{1-r} - \frac{1}{1-r^2} \right) + \left( \frac{1}{1-r^2} - \frac{1}{1-r^4} \right) + \cdots + \left( \frac{1}{1-r^{2^{n-1}}} - \frac{1}{1-r^{2^n}} \right) \\ &= \frac{1}{1-r} - \frac{1}{1-r^{2^n}} \end{aligned} $$

無限級数の和は、この部分和 $S_n$ の $n \to \infty$ としたときの極限である。条件 $|r| \neq 1$ より、$|r| < 1$ と $|r| > 1$ の場合に分けて極限を調べる。

(i)

$|r| < 1$ のとき

$n \to \infty$ のとき、$r^{2^n} \to 0$ となる。

よって、求める和は

$$ \lim_{n \to \infty} S_n = \frac{1}{1-r} - \frac{1}{1-0} = \frac{1}{1-r} - 1 = \frac{r}{1-r} $$

(ii)

$|r| > 1$ のとき

$n \to \infty$ のとき、$r^{2^n} \to \infty$ となる。

よって、求める和は

$$ \lim_{n \to \infty} S_n = \frac{1}{1-r} - 0 = \frac{1}{1-r} $$

解説

無限級数の和を求める際の定石である「まず第 $n$ 項までの部分和 $S_n$ を求め、その後に極限をとる」手順を踏む問題である。

本問の最大のポイントは、一般項 $\frac{r^{2^{k-1}}}{1-r^{2^k}}$ を $\frac{1}{1-r^{2^{k-1}}} - \frac{1}{1-r^{2^k}}$ という階差の形に分解できるかどうかにかかっている。分母が $1-x^2 = (1-x)(1+x)$ と因数分解できることに着目し、分子がちょうどその差から生まれることに気づけば、あとは隣り合う項が次々と相殺される(望遠鏡和)ため、容易に部分和を求めることができる。

また、極限の計算において、$|r| < 1$ と $|r| > 1$ で $r^{2^n}$ の極限が異なるため、場合分けが必須である点にも注意が必要である。

答え

$|r| < 1$ のとき、$\frac{r}{1-r}$

$|r| > 1$ のとき、$\frac{1}{1-r}$

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