東京大学 1966年 理系 第5問 解説

方針・初手
点 $O$ を原点とする座標平面上で、点 $P$ の位置を時刻 $t$ を媒介変数として表し、曲線の長さ(道のり)の公式を用いて定積分を計算する。
半直線 $OX$ は毎秒 $1$ ラジアンで回転しているため、時刻 $t$ における半直線 $OX$ の $x$ 軸からのなす角を $t$ とおいて座標を設定しても、道のりを求める上では一般性を失わない。直交座標 $(x, y)$ で表して計算する方法と、極座標 $(r, \theta)$ の公式を用いる方法の2通りが考えられる。
解法1
点 $O$ を原点とする直交座標系を設定する。
半直線 $OX$ は点 $O$ のまわりに毎秒 $1$ ラジアンの角速度で回転しているため、時刻 $t$ における $OX$ のなす角を $t$ としても、点 $P$ の動く道のりは変わらない。
点 $P$ は点 $O$ から $e^{2t}$ の距離にあるため、時刻 $t$ における点 $P$ の座標 $(x, y)$ は次のように表される。
$$ \begin{cases} x = e^{2t} \cos t \\ y = e^{2t} \sin t \end{cases} $$
点 $P$ の速度ベクトルの成分 $\frac{dx}{dt}, \frac{dy}{dt}$ をそれぞれ計算する。積の微分公式を用いると、
$$ \begin{aligned} \frac{dx}{dt} &= (e^{2t})' \cos t + e^{2t} (\cos t)' \\ &= 2e^{2t} \cos t - e^{2t} \sin t \\ &= e^{2t} (2\cos t - \sin t) \end{aligned} $$
$$ \begin{aligned} \frac{dy}{dt} &= (e^{2t})' \sin t + e^{2t} (\sin t)' \\ &= 2e^{2t} \sin t + e^{2t} \cos t \\ &= e^{2t} (2\sin t + \cos t) \end{aligned} $$
となる。次に、時刻 $t$ における点 $P$ の速さ $\sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dy}{dt}\right)^2}$ を求めるために根号の中身を計算する。
$$ \begin{aligned} \left(\frac{dx}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dy}{dt}\right)^2 &= \{e^{2t} (2\cos t - \sin t)\}^2 + \{e^{2t} (2\sin t + \cos t)\}^2 \\ &= e^{4t} \{(4\cos^2 t - 4\sin t \cos t + \sin^2 t) + (4\sin^2 t + 4\sin t \cos t + \cos^2 t)\} \\ &= e^{4t} \{5(\cos^2 t + \sin^2 t)\} \\ &= 5e^{4t} \end{aligned} $$
したがって、時刻 $t$ における速さは次のようになる。
$$ \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dy}{dt}\right)^2} = \sqrt{5e^{4t}} = \sqrt{5}e^{2t} $$
時刻 $t=0$ から $t=2\pi$ までに点 $P$ が動く道のり $L$ は、この速さを $t$ で定積分して求められる。
$$ \begin{aligned} L &= \int_{0}^{2\pi} \sqrt{5}e^{2t} dt \\ &= \sqrt{5} \left[ \frac{1}{2} e^{2t} \right]_{0}^{2\pi} \\ &= \frac{\sqrt{5}}{2} (e^{4\pi} - 1) \end{aligned} $$
問題文にて距離の単位が $\text{cm}$ と与えられているため、道のりの単位も $\text{cm}$ となる。
解法2
点 $O$ を極とする極座標 $(r, \theta)$ を考える。
半直線 $OX$ は毎秒 $1$ ラジアンの角速度で回転しているため、時刻 $t$ における偏角は $\theta = t$ とおくことができる。このとき、点 $P$ の極 $O$ からの距離 $r$ は $r = e^{2t}$ であるから、次のように表せる。
$$ r = e^{2\theta} $$
極座標表示された曲線 $r = f(\theta)$ において、$\theta$ が $\theta_1$ から $\theta_2$ まで変化するときの曲線の長さ $L$ は、以下の公式で求められる。
$$ L = \int_{\theta_1}^{\theta_2} \sqrt{r^2 + \left(\frac{dr}{d\theta}\right)^2} d\theta $$
ここで、$r = e^{2\theta}$ を $\theta$ で微分すると、
$$ \frac{dr}{d\theta} = 2e^{2\theta} $$
となる。公式の根号の中身を計算すると、
$$ \begin{aligned} r^2 + \left(\frac{dr}{d\theta}\right)^2 &= (e^{2\theta})^2 + (2e^{2\theta})^2 \\ &= e^{4\theta} + 4e^{4\theta} \\ &= 5e^{4\theta} \end{aligned} $$
となるため、求める道のり $L$ は、積分区間を $\theta = 0$ から $\theta = 2\pi$ として次のように計算できる。
$$ \begin{aligned} L &= \int_{0}^{2\pi} \sqrt{5e^{4\theta}} d\theta \\ &= \int_{0}^{2\pi} \sqrt{5}e^{2\theta} d\theta \\ &= \sqrt{5} \left[ \frac{1}{2} e^{2\theta} \right]_{0}^{2\pi} \\ &= \frac{\sqrt{5}}{2} (e^{4\pi} - 1) \end{aligned} $$
単位をつけて答えとする。
解説
点 $P$ が描く曲線は対数螺旋(等角螺旋)と呼ばれる有名な曲線である。
直交座標による媒介変数表示の曲線の長さの公式 $\int \sqrt{(x')^2 + (y')^2} dt$ を用いるのが基本となる。微分計算と展開・整理の過程で三角関数の基本公式 $\cos^2 t + \sin^2 t = 1$ が現れ、式が非常にシンプルになるのが特徴的である。
また、解法2で示した極座標表示の曲線の長さの公式 $\int \sqrt{r^2 + (r')^2} d\theta$ を知っていれば、直交座標での積の微分や複雑な展開を回避でき、計算量を大きく減らすことができる。難関大学の微積分では極座標の公式が有効な場面が多いため、導出を含めて習熟しておきたい。
答え
$$ \frac{\sqrt{5}}{2} (e^{4\pi} - 1) \text{ cm} $$
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