北海道大学 1990年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) は与えられた積の形の不等式 $(A)(B) \le 0$ を、$A \ge 0$ かつ $B \le 0$ または $A \le 0$ かつ $B \ge 0$ に場合分けして考える。条件 $x \ge 0, y \ge 0$ と合わせて、直線で囲まれた領域を特定する。
(2) は $xy=k$ とおき、この曲線(直角双曲線)が領域 $D$ と共有点をもつような $k$ の最大値を求める。図形的に接する条件を考えるか、領域の境界をなす各線分上で $xy$ を $x$ の2次関数として表し、最大値を求める。
解法1
(1)
与えられた不等式 $(2x+y-8)(x+y-5) \le 0$ より、以下の2つの場合が考えられる。
$$ \begin{cases} 2x + y - 8 \ge 0 \\ x + y - 5 \le 0 \end{cases} \quad \text{または} \quad \begin{cases} 2x + y - 8 \le 0 \\ x + y - 5 \ge 0 \end{cases} $$
これを $y$ について整理すると、
$$ \begin{cases} y \ge -2x + 8 \\ y \le -x + 5 \end{cases} \quad \text{または} \quad \begin{cases} y \le -2x + 8 \\ y \ge -x + 5 \end{cases} $$
境界となる2直線 $y = -2x + 8$ と $y = -x + 5$ の交点を求めるため、連立方程式を解くと $x=3, y=2$ となる。 したがって、条件 $x \ge 0, y \ge 0$ を踏まえて $x$ の範囲で分割すると、領域 $D$ は以下の2つの部分を合わせたものとなる。
(i) $0 \le x \le 3$ のとき 条件 $y \le -2x + 8$ かつ $y \ge -x + 5$ を満たす領域。 これは点 $(0,5), (0,8), (3,2)$ を頂点とする三角形の周および内部である。
(ii) $x \ge 3$ のとき 条件 $y \ge -2x + 8$ かつ $y \le -x + 5$ かつ $y \ge 0$ を満たす領域。 これは点 $(3,2), (4,0), (5,0)$ を頂点とする三角形の周および内部である。
以上より、領域 $D$ は、3点 $(0,5), (0,8), (3,2)$ を結ぶ三角形と、3点 $(3,2), (4,0), (5,0)$ を結ぶ三角形を合わせた図形であり、境界線をすべて含む。
(2)
点 $P(x,y)$ が領域 $D$ にあるとき、$xy$ の最大値を考える。 $xy = k$ とおくと、$x \ge 0, y \ge 0$ の領域において $k \ge 0$ である。 曲線 $y = \frac{k}{x}$ ($x>0, k>0$) は第1象限における直角双曲線であり、$k$ が大きくなるほど原点から遠ざかる。 したがって、$xy$ が最大となるのは、等高線 $xy=k$ が領域 $D$ の「右上側」の境界線と接するとき、または境界線の端点を通るときである。
領域 $D$ の右上側の境界をなす線分は、以下の2つである。 線分 $l_1$: $y = -2x+8 \quad (0 \le x \le 3)$ 線分 $l_2$: $y = -x+5 \quad (3 \le x \le 5)$
それぞれの上での $xy$ の最大値を調べる。
(ア) 点 $P$ が線分 $l_1$ 上を動くとき $y = -2x+8$ を $xy$ に代入すると、
$$ xy = x(-2x+8) = -2x^2+8x = -2(x-2)^2 + 8 $$
$0 \le x \le 3$ の範囲において、これは $x=2$ のとき最大値 $8$ をとる。 このとき $y = -2 \cdot 2 + 8 = 4$ であり、点 $(2,4)$ は線分 $l_1$ 上に存在する。
(イ) 点 $P$ が線分 $l_2$ 上を動くとき $y = -x+5$ を $xy$ に代入すると、
$$ xy = x(-x+5) = -x^2+5x = -\left(x-\frac{5}{2}\right)^2 + \frac{25}{4} $$
$3 \le x \le 5$ の範囲において、関数 $-\left(x-\frac{5}{2}\right)^2 + \frac{25}{4}$ は単調減少する。 よって、$x=3$ のとき最大値 $-3^2+5 \cdot 3 = 6$ をとる。
以上より、各線分における最大値を比較して $8 > 6$ であるから、$xy$ の最大値は $8$ である。
解説
不等式を満たす領域の図示と、その領域内での2変数関数の最大値を求める線形計画法の応用問題である。 (1) では積の形をした不等式の処理がポイントとなる。$(A)(B) \le 0$ を正しく場合分けし、直線で囲まれた2つの三角形領域を的確に把握することが求められる。 (2) では $xy=k$ とおいて曲線のグラフが領域と共有点をもつ条件を考えるか、領域の境界線上の関数として1変数に帰着させて最大値を求める。領域の形状から、値が大きくなりうる「右上に凸」の境界線(2つの線分)上のみを調べれば十分であることが分かる。
答え
(1) 3点 $(0,5), (0,8), (3,2)$ を頂点とする三角形の周および内部と、3点 $(3,2), (4,0), (5,0)$ を頂点とする三角形の周および内部を合わせた図形(境界線を含む)。
(2) $8$
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