北海道大学 1994年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) 曲線上の点における接線の方程式の公式を用いて、接線の方程式を接点の $x$ 座標 $a$ で表す。
(2) (1) で求めた接線の方程式が点 $(-2, 0)$ を通るという条件から、$x=-2, y=0$ を代入して $a$ についての3次方程式を解く。
(3) 点 $(t, 0)$ を通る接線が3本引ける条件は、(1) の接線の方程式に $x=t, y=0$ を代入して得られる $a$ についての3次方程式が、互いに異なる3つの実数解をもつことである。この3次方程式を $g(a)=0$ とおき、$g(a)$ が極値をもち、かつ(極大値)$\times$(極小値)$<0$ となる条件を求める。
解法1
(1)
$f(x) = x^3 - x + 6$ とおくと、
$$ f'(x) = 3x^2 - 1 $$
曲線 $C$ 上の点 $(a, a^3 - a + 6)$ における接線の傾きは $3a^2 - 1$ であるから、接線の方程式は、
$$ y - (a^3 - a + 6) = (3a^2 - 1)(x - a) $$
整理して、
$$ y = (3a^2 - 1)x - 2a^3 + 6 $$
(2)
(1) の接線が点 $(-2, 0)$ を通るから、
$$ 0 = (3a^2 - 1) \cdot (-2) - 2a^3 + 6 $$
整理すると、
$$ 2a^3 + 6a^2 - 8 = 0 $$
$$ a^3 + 3a^2 - 4 = 0 $$
左辺を因数分解すると、
$$ (a - 1)(a^2 + 4a + 4) = 0 $$
$$ (a - 1)(a + 2)^2 = 0 $$
よって、求める $a$ の値は、
$$ a = 1, -2 $$
(3)
点 $(t, 0)$ を通る接線が引けるとき、(1) の接線の方程式において $x=t, y=0$ を満たす実数 $a$ が存在する。
$$ 0 = (3a^2 - 1)t - 2a^3 + 6 $$
整理すると、
$$ 2a^3 - 3ta^2 + t - 6 = 0 $$
3次関数のグラフにおいて、接点と接線は1対1に対応する。したがって、点 $(t, 0)$ から接線が3本引けるための条件は、上記の方程式が $a$ について互いに異なる3つの実数解をもつことである。
$$ g(a) = 2a^3 - 3ta^2 + t - 6 $$
とおくと、3次方程式 $g(a) = 0$ が異なる3つの実数解をもつ条件は、関数 $g(a)$ が極値をもち、かつ(極大値)$\times$(極小値)$<0$ となることである。
$$ g'(a) = 6a^2 - 6ta = 6a(a - t) $$
$g'(a) = 0$ とすると $a = 0, t$ である。問題の条件より $t > 0$ であるから、これらは異なる2つの実数解であり、$g(a)$ は $a = 0$ と $a = t$ で極値をとる。極値の積が負となるから、
$$ g(0)g(t) < 0 $$
$$ (t - 6)(2t^3 - 3t^3 + t - 6) < 0 $$
$$ (t - 6)(-t^3 + t - 6) < 0 $$
両辺に $-1$ を掛けて、
$$ (t - 6)(t^3 - t + 6) > 0 $$
ここで、$t^3 - t + 6$ を因数分解すると、
$$ t^3 - t + 6 = (t + 2)(t^2 - 2t + 3) = (t + 2)\{(t - 1)^2 + 2\} $$
$t > 0$ のとき、$t + 2 > 0$ かつ $(t - 1)^2 + 2 > 0$ であるから、常に $t^3 - t + 6 > 0$ が成り立つ。
したがって、不等式 $(t - 6)(t^3 - t + 6) > 0$ の両辺を正の数 $t^3 - t + 6$ で割って、
$$ t - 6 > 0 $$
よって、$t > 6$ となる。これは $t > 0$ を満たしている。
解法2
(3) の別解(定数分離)
(3) の方程式 $2a^3 - 3ta^2 + t - 6 = 0$ を $t$ について整理すると、
$$ t(3a^2 - 1) = 2a^3 - 6 $$
$a = \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ のとき、$3a^2 - 1 = 0$ となるが、このとき $2a^3 - 6 \neq 0$ であるから等式は成り立たない。よって $a \neq \pm\frac{1}{\sqrt{3}}$ として両辺を $3a^2 - 1$ で割ると、
$$ t = \frac{2a^3 - 6}{3a^2 - 1} $$
$$ h(a) = \frac{2a^3 - 6}{3a^2 - 1} $$
とおく。求める条件は、$a$ についての方程式 $h(a) = t$ が異なる3つの実数解をもつこと、すなわち $a$ の関数 $y = h(a)$ のグラフと直線 $y = t$ が異なる3つの共有点をもつことである。
$$ h'(a) = \frac{6a^2(3a^2 - 1) - (2a^3 - 6) \cdot 6a}{(3a^2 - 1)^2} = \frac{6a(a^3 - a + 6)}{(3a^2 - 1)^2} $$
ここで、(2) の結果も参考にしつつ $a^3 - a + 6$ を因数分解すると、
$$ a^3 - a + 6 = (a + 2)(a^2 - 2a + 3) = (a + 2)\{(a - 1)^2 + 2\} $$
常に $(a - 1)^2 + 2 > 0$ であるから、$h'(a) = 0$ を満たす実数は $a = 0, -2$ のみである。増減表は以下のようになる。
| $a$ | $\cdots$ | $-2$ | $\cdots$ | $-\frac{1}{\sqrt{3}}$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $\frac{1}{\sqrt{3}}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $h'(a)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ | $+$ | ||
| $h(a)$ | $\nearrow$ | $-2$ | $\searrow$ | $\searrow$ | $6$ | $\nearrow$ | $\nearrow$ |
また、極限を調べると以下のようになる。
$$ \lim_{a \to \pm\infty} h(a) = \pm\infty \quad \text{(複号同順)} $$
$$ \lim_{a \to -\frac{1}{\sqrt{3}} - 0} h(a) = -\infty, \quad \lim_{a \to -\frac{1}{\sqrt{3}} + 0} h(a) = \infty $$
$$ \lim_{a \to \frac{1}{\sqrt{3}} - 0} h(a) = \infty, \quad \lim_{a \to \frac{1}{\sqrt{3}} + 0} h(a) = -\infty $$
増減と極限から $y=h(a)$ のグラフの概形を考えると、直線 $y = t$ と異なる3つの共有点をもつための条件は、
$$ t < -2 \quad \text{または} \quad t > 6 $$
問題の条件より $t > 0$ であるから、求める範囲は
$$ t > 6 $$
解説
微分の応用における接線の本数問題の典型的なパターンである。 一般に、3次関数のグラフにおいて「接点の個数」と「接線の本数」は一致するため、接点の $x$ 座標 $a$ に関する3次方程式の実数解の個数を調べればよい。
解法1では、3次方程式が異なる3つの実数解をもつ条件を「極値をもつ かつ 極大値と極小値の積が負」として処理している。この方法は計算量が少なく、見通しが良い。途中で現れる $t^3 - t + 6 > 0$ の証明では、因数定理を用いて綺麗に因数分解できることに気付けると簡潔にまとまる。
解法2は定数分離法であり、方程式の実数解の個数を2つのグラフの共有点の個数として視覚的に捉える汎用的な手法である。分数関数の微分と漸近線(極限)の把握が必要になるため計算や記述の量が増えるが、論理の組み立てとしては確実である。
答え
(1) $y = (3a^2 - 1)x - 2a^3 + 6$
(2) $a = 1, -2$
(3) $t > 6$
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