北海道大学 1968年 理系 第5問 解説

方針・初手
曲線上の点 $(t, f(t))$ における接線の方程式を立て、それが原点 $(0,0)$ を通るという条件から $t$ についての方程式を導きます。接線が2本引けるということは、接点が2つ存在する、つまりこの方程式が異なる2つの実数解をもつということになります。 変曲点については、第2次導関数 $y'' = 0$ となる $x$ の値を求め、その $x$ 座標が2つの接点の $x$ 座標の間にあるかどうかを調べます。
解法1
$f(x) = e^{-\frac{(x-a)^2}{2}}$ とおく。 関数 $f(x)$ を微分すると、
$$ f'(x) = -(x-a)e^{-\frac{(x-a)^2}{2}} $$
さらに微分すると、
$$ \begin{aligned} f''(x) &= -e^{-\frac{(x-a)^2}{2}} + \{-(x-a)\}^2 e^{-\frac{(x-a)^2}{2}} \\ &= \{(x-a)^2 - 1\}e^{-\frac{(x-a)^2}{2}} \\ &= (x-a-1)(x-a+1)e^{-\frac{(x-a)^2}{2}} \end{aligned} $$
曲線 $y = f(x)$ 上の点 $(t, f(t))$ における接線の方程式は、
$$ y - e^{-\frac{(t-a)^2}{2}} = -(t-a)e^{-\frac{(t-a)^2}{2}}(x - t) $$
この接線が原点 $(0,0)$ を通るとき、
$$ 0 - e^{-\frac{(t-a)^2}{2}} = -(t-a)e^{-\frac{(t-a)^2}{2}}(0 - t) $$
$$ -e^{-\frac{(t-a)^2}{2}} = t(t-a)e^{-\frac{(t-a)^2}{2}} $$
$e^{-\frac{(t-a)^2}{2}} > 0$ であるから、両辺をこれで割って整理すると、
$$ t^2 - at + 1 = 0 \cdots (A) $$
(1)
原点を通る接線が2本引けるための条件は、接点が2つ存在すること、すなわち $t$ についての2次方程式 $(A)$ が異なる2つの実数解をもつことである。 方程式 $(A)$ の判別式を $D$ とすると、
$$ D = a^2 - 4 > 0 $$
これより、
$$ (a-2)(a+2) > 0 $$
$a > 0$ であるから、求める範囲は
$$ a > 2 $$
(2)
(1) のとき、方程式 $(A)$ の異なる2つの実数解を $\alpha, \beta \ (\alpha < \beta)$ とすると、これらが2接点の $x$ 座標である。 $g(t) = t^2 - at + 1$ とおくと、$\alpha < x < \beta$ を満たす実数 $x$ は、不等式 $g(x) < 0$ を満たす。
一方、曲線の変曲点の $x$ 座標は、$f''(x) = 0$ の解である。 $e^{-\frac{(x-a)^2}{2}} > 0$ であるから、$(x-a-1)(x-a+1) = 0$ より、
$$ x = a - 1, \ a + 1 $$
この前後で $f''(x)$ の符号は正から負、または負から正へと変化するため、これらはともに変曲点である。 これらの $x$ 座標が $\alpha < x < \beta$ の範囲(すなわち $g(x) < 0$ の範囲)にあるかどうかを調べる。
$x = a - 1$ のとき、
$$ \begin{aligned} g(a - 1) &= (a - 1)^2 - a(a - 1) + 1 \\ &= a^2 - 2a + 1 - a^2 + a + 1 \\ &= -a + 2 \end{aligned} $$
$a > 2$ であるから、$-a + 2 < 0$ となり、$g(a - 1) < 0$ が成り立つ。 したがって、$\alpha < a - 1 < \beta$ である。
$x = a + 1$ のとき、
$$ \begin{aligned} g(a + 1) &= (a + 1)^2 - a(a + 1) + 1 \\ &= a^2 + 2a + 1 - a^2 - a + 1 \\ &= a + 2 \end{aligned} $$
$a > 2$ であるから、$a + 2 > 0$ となり、$g(a + 1) > 0$ である。 さらに、$g(t)$ のグラフの軸は $t = \frac{a}{2}$ であり、$a + 1 > \frac{a}{2}$ であるから、右側の解 $\beta$ よりも大きい位置にある。よって、$a + 1 > \beta$ である。
以上より、2接点の $x$ 座標 $\alpha, \beta$ の間に存在する変曲点の $x$ 座標は $a - 1$ のただ1つである。 このとき、変曲点の $y$ 座標は、
$$ f(a - 1) = e^{-\frac{(a - 1 - a)^2}{2}} = e^{-\frac{1}{2}} = \frac{1}{\sqrt{e}} $$
したがって、題意は示された。
解説
(1) は接線を立式して原点を代入し、接点の座標についての2次方程式を導く定石通りの問題です。「接線の本数は接点(の $x$ 座標)の個数に一致する」という考え方が重要です。 (2) は解と係数の関係を用いて $\alpha, \beta$ を直接求めてから大小比較をすることも可能ですが、式が煩雑になります。2次関数 $g(t) = t^2 - at + 1$ のグラフ(下に凸の放物線)において、$t$ 軸より下側にある範囲が $\alpha < t < \beta$ であることを利用し、$g(a-1)$ および $g(a+1)$ の符号を調べる解法が最もスマートで計算ミスを防ぎやすいアプローチです。
答え
(1) $a > 2$
(2) 2接点の間の部分に変曲点がただ1つあることは示された。その変曲点の座標は $\left(a - 1, \frac{1}{\sqrt{e}}\right)$
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