北海道大学 1970年 理系 第5問 解説

方針・初手
与えられた等式は積分方程式である。積分区間の上端に変数 $x$ が含まれているため、両辺を $x$ で微分して微分方程式に帰着させるのが定石である。 (1)では、合成関数の微分法と微積分学の基本定理 $\frac{d}{dx}\int_a^x g(t)dt = g(x)$ を用いて微分する。 (2)では、(1)で得られた微分方程式を変数分離形として解く。その際、積分定数を決定するために、元の積分方程式に $x=1$ を代入して初期条件 $f(1)$ の値を求めておく必要がある。
解法1
(1)
与えられた等式は以下の通りである。
$$ \{f(x)\}^2 = x + 1 + \int_1^x \{f(t)\}^2 dt $$
両辺を $x$ で微分すると、連鎖律(合成関数の微分法)および微積分学の基本定理より、
$$ 2f(x)f'(x) = 1 + \{f(x)\}^2 $$
となる。ここで、$y = f(x)$ とおくと、$y' = f'(x)$ であるから、求める1階微分方程式は
$$ 2yy' = y^2 + 1 $$
となる。
(2)
(1) で得られた微分方程式を変形して解く。$y' = \frac{dy}{dx}$ であるから、
$$ 2y \frac{dy}{dx} = y^2 + 1 $$
$y^2 + 1 \neq 0$ であるから、両辺を $y^2 + 1$ で割り、変数分離形にする。
$$ \frac{2y}{y^2 + 1} dy = dx $$
両辺を積分する。
$$ \int \frac{2y}{y^2 + 1} dy = \int dx $$
$$ \log(y^2 + 1) = x + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$
対数の定義より、
$$ y^2 + 1 = e^{x+C} $$
$$ y^2 = e^{x+C} - 1 $$
次に、積分定数 $C$ を求めるための初期条件を元の積分方程式から導く。 与式において $x = 1$ を代入すると、
$$ \{f(1)\}^2 = 1 + 1 + \int_1^1 \{f(t)\}^2 dt $$
$$ \{f(1)\}^2 = 2 $$
問題の条件より $f(x) > 0$ であるから、$f(1) > 0$ となり、
$$ f(1) = \sqrt{2} $$
すなわち、$x = 1$ のとき $y = \sqrt{2}$ である。これを $y^2 + 1 = e^{x+C}$ に代入する。
$$ (\sqrt{2})^2 + 1 = e^{1+C} $$
$$ 3 = e^{1+C} $$
両辺の自然対数をとると、
$$ \log 3 = 1 + C $$
$$ C = \log 3 - 1 $$
したがって、
$$ y^2 = e^{x + \log 3 - 1} - 1 $$
指数法則 $e^{x + \log 3 - 1} = e^{\log 3} \cdot e^{x-1} = 3e^{x-1}$ を用いて整理すると、
$$ y^2 = 3e^{x-1} - 1 $$
$y = f(x) > 0$ であるから、
$$ y = \sqrt{3e^{x-1} - 1} $$
解説
定積分で表された関数を含む等式(積分方程式)の典型的な処理を問う問題である。 変数 $x$ が積分区間の上端にある場合は、両辺を微分することで関数関係を導き出す。また、下端と同じ値を $x$ に代入することで、積分項を消去して初期条件を得るのもお決まりの手順である。 微分方程式を解く過程で現れる積分定数は、この初期条件を用いて決定する。対数関数の真数条件や、平方根をとる際の符号($f(x)>0$)の確認を忘れないように注意したい。
答え
(1) $$ 2yy' = y^2 + 1 $$
(2) $$ y = \sqrt{3e^{x-1} - 1} $$
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