九州大学 1972年 文系 第4問 解説

方針・初手
(1) では、与えられた条件 $p>0$ および $q^2 - 4pr < 0$ から、曲線①が常に $x$ 軸の上方にある($y>0$)ことをまず確認します。その上で、定積分を用いて面積を $\alpha$ を含む式で表し、それが $\alpha$ の値によらず $3\alpha^2 + 5\alpha + 5$ と一致することから、$\alpha$ についての恒等式として係数比較を行います。
(2) では、(1) で求めた曲線の方程式から接線の方程式を求め、定積分を計算します。放物線とその接線の上下関係および、放物線から接線を引いた式が $p(x-\text{接点の}x\text{座標})^2$ となる性質を利用すると計算がスムーズに進みます。
解法1
(1)
曲線①の式 $y = px^2 + qx + r$ について、$p > 0$ かつ判別式 $D = q^2 - 4pr < 0$ であるため、すべての実数 $x$ において $y > 0$ である。 したがって、曲線①、直線② ($x = \alpha$)、直線③ ($x = \alpha + 1$)、および直線④ ($y = 0$) で囲まれる部分の面積 $S$ は、次のように表される。
$$S = \int_{\alpha}^{\alpha+1} (px^2 + qx + r) dx$$
この定積分を計算する。
$$\begin{aligned} S &= \left[ \frac{p}{3}x^3 + \frac{q}{2}x^2 + rx \right]_{\alpha}^{\alpha+1} \\ &= \frac{p}{3} \left\{ (\alpha+1)^3 - \alpha^3 \right\} + \frac{q}{2} \left\{ (\alpha+1)^2 - \alpha^2 \right\} + r \left\{ (\alpha+1) - \alpha \right\} \\ &= \frac{p}{3} (3\alpha^2 + 3\alpha + 1) + \frac{q}{2} (2\alpha + 1) + r \\ &= p\alpha^2 + (p+q)\alpha + \frac{p}{3} + \frac{q}{2} + r \end{aligned}$$
問題の条件より、これが $\alpha$ の値によらず $3\alpha^2 + 5\alpha + 5$ に等しいので、$\alpha$ についての恒等式となる。
$$p\alpha^2 + (p+q)\alpha + \frac{p}{3} + \frac{q}{2} + r = 3\alpha^2 + 5\alpha + 5$$
両辺の係数を比較して、以下の連立方程式を得る。
$$\begin{cases} p = 3 \\ p + q = 5 \\ \frac{p}{3} + \frac{q}{2} + r = 5 \end{cases}$$
第1式より $p = 3$ である。 これを第2式に代入して、$3 + q = 5$ より $q = 2$ である。 これらを第3式に代入して、$1 + 1 + r = 5$ より $r = 3$ である。
求めた $p, q, r$ の値が、$p > 0$ かつ $q^2 - 4pr < 0$ を満たすか確認する。 $p = 3 > 0$ であり、$q^2 - 4pr = 2^2 - 4 \cdot 3 \cdot 3 = 4 - 36 = -32 < 0$ となるため、条件を満たす。 よって、$p = 3, q = 2, r = 3$ である。
(2)
(1) の結果より、曲線①の方程式は $y = 3x^2 + 2x + 3$ である。 これを $f(x)$ とおく。$f'(x) = 6x + 2$ である。
曲線①と直線② ($x = \alpha$) の交点 $A$ の座標は $(\alpha, f(\alpha))$ すなわち $(\alpha, 3\alpha^2 + 2\alpha + 3)$ である。 点 $A$ における接線の方程式を $y = g(x)$ とすると、その傾きは $f'(\alpha) = 6\alpha + 2$ であるから、
$$g(x) = (6\alpha + 2)(x - \alpha) + 3\alpha^2 + 2\alpha + 3$$
となる。 曲線①と接線は点 $A$ で接し、曲線①は下に凸 ($p = 3 > 0$) の放物線であるから、すべての $x$ において $f(x) \geqq g(x)$ が成り立つ。
求める面積 $T$ は、曲線①、点 $A$ における接線、および直線③ ($x = \alpha + 1$) とで囲まれる部分である。接点が $x = \alpha$ の位置にあるため、積分区間は $\alpha \leqq x \leqq \alpha + 1$ となる。
$$T = \int_{\alpha}^{\alpha+1} \{ f(x) - g(x) \} dx$$
ここで、$f(x) - g(x)$ は $x^2$ の係数が $3$ であり、$x = \alpha$ で重解をもつ2次式であるため、$f(x) - g(x) = 3(x - \alpha)^2$ と表すことができる。 したがって、積分は次のように計算できる。
$$\begin{aligned} T &= \int_{\alpha}^{\alpha+1} 3(x - \alpha)^2 dx \\ &= \left[ (x - \alpha)^3 \right]_{\alpha}^{\alpha+1} \\ &= (\alpha + 1 - \alpha)^3 - (\alpha - \alpha)^3 \\ &= 1^3 - 0 \\ &= 1 \end{aligned}$$
よって、求める面積は $1$ である。
解説
(1) では「$\alpha$ の値のいかんにかかわらず」という文言から、求めた面積の式が $\alpha$ についての恒等式になることを見抜くのがポイントです。また、問題文冒頭の不等式条件からグラフが $x$ 軸と交わらないことを確認するプロセスも、論理的な答案作成において重要です。
(2) は放物線と接線で囲まれた面積の典型問題です。放物線 $y = f(x)$ 上の点 $(t, f(t))$ における接線を $y = g(x)$ とするとき、$f(x) - g(x) = a(x - t)^2$ ($a$ は放物線の $x^2$ の係数)と因数分解できる性質を利用すると、煩雑な展開を避けてスムーズに積分計算を行うことができます。
答え
(1) $p = 3$, $q = 2$, $r = 3$
(2) $1$
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