九州大学 1980年 文系 第2問 解説

方針・初手
点 $(x_0, y_0)$ を通る接線の方程式を立て、接点の $x$ 座標についての2次方程式を導きます。 その後、解と係数の関係を利用して接線の傾きを表現します。本問の最大の難所は「放物線をはさむ側の角」をいかに数学的に厳密に定式化するかです。図形的な位置関係から、点 $(x_0, y_0)$ を始点として2つの接点へ向かうベクトルのなす角を考えるのが確実なアプローチです。
解法1
放物線 $y = x^2$ 上の接点を $(t, t^2)$ とおく。 $y' = 2x$ より、この点における接線の方程式は
$$y - t^2 = 2t(x - t) \iff y = 2tx - t^2$$
となる。これが点 $P(x_0, y_0)$ を通るから
$$y_0 = 2tx_0 - t^2 \iff t^2 - 2x_0 t + y_0 = 0$$
が成り立つ。問題の条件 $y_0 < x_0^2$ より、この $t$ についての2次方程式の判別式 $\frac{D}{4} = x_0^2 - y_0$ は正となるため、異なる2つの実数解をもつ。 それらを $t_1, t_2$ ($t_1 < t_2$)とすると、解と係数の関係より以下の式が成り立つ。
$$\begin{aligned} t_1 + t_2 &= 2x_0 \\ t_1 t_2 &= y_0 \end{aligned}$$
2つの接点を $T_1(t_1, t_1^2), T_2(t_2, t_2^2)$ とおく。 $t_1 + t_2 = 2x_0$ より、$x_0$ は $t_1$ と $t_2$ の中点であるから、$t_1 < x_0 < t_2$ を満たす。 点 $P$ から各接点へ向かうベクトル $\vec{PT_1}$ と $\vec{PT_2}$ について考える。 $\vec{PT_1}$ の $x$ 成分は $t_1 - x_0 < 0$ であり、$\vec{PT_2}$ の $x$ 成分は $t_2 - x_0 > 0$ である。
ここで、各接線の方向ベクトルとして、$x$ 成分が正である $\vec{u_1} = (1, 2t_1)$ と $\vec{u_2} = (1, 2t_2)$ をとる。 $\vec{PT_1}$ は $x$ 成分が負であるから $\vec{u_1}$ と逆向き、すなわち $-\vec{u_1}$ と同じ向きである。 一方で $\vec{PT_2}$ は $x$ 成分が正であるから $\vec{u_2}$ と同じ向きである。 「放物線をはさむ側の角」$\theta$ は、点 $P$ から2つの接点を見込む角 $\angle T_1 P T_2$ であるから、$-\vec{u_1}$ と $\vec{u_2}$ のなす角に等しい。
$\vec{u_1}, \vec{u_2}$ が $x$ 軸の正の向きとなす角をそれぞれ $\alpha, \beta$ とすると、$-\frac{\pi}{2} < \alpha < \beta < \frac{\pi}{2}$ であり、$\tan \alpha = 2t_1, \tan \beta = 2t_2$ である。 このとき、$\vec{u_2}$ の偏角は $\beta$、$-\vec{u_1}$ の偏角は $\alpha + \pi$ と表せる。 したがって、なす角 $\theta$ は
$$\theta = (\alpha + \pi) - \beta = \pi - (\beta - \alpha)$$
となる。$-\frac{\pi}{2} < \alpha < \beta < \frac{\pi}{2}$ より $0 < \beta - \alpha < \pi$ であるから、$0 < \theta < \pi$ となりなす角として適する。 $\theta = \frac{\pi}{4}$ となる条件は $\tan \theta = 1$ であるから
$$\tan \theta = \tan(\pi - (\beta - \alpha)) = -\tan(\beta - \alpha) = 1$$
加法定理より
$$-\frac{\tan \beta - \tan \alpha}{1 + \tan \alpha \tan \beta} = 1$$
これに $\tan \alpha = 2t_1, \tan \beta = 2t_2$ を代入すると
$$-\frac{2t_2 - 2t_1}{1 + 4t_1 t_2} = 1 \iff 1 + 4t_1 t_2 = -2(t_2 - t_1)$$
ここで、解と係数の関係を利用して $t_2 - t_1$ を $x_0, y_0$ で表す。 $t_1 < t_2$ より
$$t_2 - t_1 = \sqrt{(t_1 + t_2)^2 - 4t_1 t_2} = \sqrt{4x_0^2 - 4y_0} = 2\sqrt{x_0^2 - y_0}$$
これを先ほどの式に代入すると
$$1 + 4y_0 = -4\sqrt{x_0^2 - y_0}$$
右辺は負であるため、この等式が成り立つためには左辺も負でなければならない。 よって $1 + 4y_0 < 0$ すなわち $y_0 < -\frac{1}{4}$ が必要である。 この条件のもとで両辺を2乗すると
$$(1 + 4y_0)^2 = 16(x_0^2 - y_0)$$
$$16y_0^2 + 8y_0 + 1 = 16x_0^2 - 16y_0$$
$$16x_0^2 - 16y_0^2 - 24y_0 - 1 = 0$$
なお、$y_0 < -\frac{1}{4}$ のとき、$x_0^2 - y_0 > x_0^2 + \frac{1}{4} > 0$ となり、問題の前提条件である $y_0 < x_0^2$ は自動的に満たされる。 以上より、求める必要十分条件は $16x_0^2 - 16y_0^2 - 24y_0 - 1 = 0$ かつ $y_0 < -\frac{1}{4}$ である。
解説
「放物線をはさむ側の角」という表現の解釈がポイントです。2直線のなす角の公式 $|\frac{m_1 - m_2}{1 + m_1 m_2}|$ にそのまま当てはめると、求めた角が「放物線をはさむ側」なのか「はさまない側」なのかの判別ができず、論理の飛躍につながります。本解法のように、接点へ向かうベクトルのなす角として捉え直すことで、曖昧さを排除し厳密に議論することができます。 また、式変形の終盤で $\sqrt{A} = B$ の形を2乗する際、同値性を保つための条件 $B \le 0$ (今回は $1 + 4y_0 < 0$)を忘れないように注意が必要です。これを落とすと十分性が担保されません。
答え
$$16x_0^2 - 16y_0^2 - 24y_0 - 1 = 0 \quad \left( y_0 < -\frac{1}{4} \right)$$
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