九州大学 2008年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) は法線の定義に従い、点 $P$ における接線と直交する直線を求めます。接線の傾きから法線の傾きを求めるアプローチが自然ですが、接線の傾きが $0$ になる場合($p=0$ のとき)は法線が $y$ 軸と平行になるため、別扱いにするか、ベクトルの内積を用いて立式することで場合分けを回避できます。
(2) は「ある点を通る法線」の問題です。(1) で求めた法線の方程式に点 $(0, a)$ の座標を代入し、接点の $x$ 座標 $p$ に関する方程式の実数解の個数を調べます。「$p$ が一つ定まれば法線が 1 本定まること」「異なる $p$ に対して法線がすべて異なること」を確認したうえで解の個数を数えます。
解法1
(1) $y = x^2$ について、$y' = 2x$ である。 点 $P(p, p^2)$ における接線の方向ベクトルの一つは $\vec{d} = (1, 2p)$ と表せる。 点 $P$ における法線上の任意の点を $(x, y)$ とおくと、ベクトル $(x - p, y - p^2)$ は $\vec{d}$ と直交する。 したがって、内積が $0$ となることから、
$$ 1 \cdot (x - p) + 2p(y - p^2) = 0 $$
整理して、求める法線の方程式は
$$ x + 2py - 2p^3 - p = 0 $$
(2) 法線が $y$ 軸上の点 $(0, a)$ を通るので、(1) で求めた方程式に $x = 0, y = a$ を代入して、
$$ 2pa - 2p^3 - p = 0 $$
$$ p(2p^2 - 2a + 1) = 0 $$
この $p$ についての方程式の実数解の個数を調べる。 ここで、異なる $p$ に対する法線は、傾き $-\frac{1}{2p}$ または $y$ 軸に平行な直線としてすべて異なるため、方程式の実数解の個数が引ける法線の本数に一致する。 方程式の実数解は $p = 0$ または $2p^2 - 2a + 1 = 0$ である。 $p^2 = a - \frac{1}{2}$ について、以下の3つの場合に分ける。
(i) $a - \frac{1}{2} > 0$ すなわち $a > \frac{1}{2}$ のとき
$p^2 = a - \frac{1}{2}$ は $p \neq 0$ なる異なる2つの実数解をもつ。 $p = 0$ と合わせて、実数解は3個となる。したがって、法線は3本である。
(ii) $a - \frac{1}{2} = 0$ すなわち $a = \frac{1}{2}$ のとき
$p^2 = a - \frac{1}{2}$ の実数解は $p = 0$ のみである。 これは最初から得られている解 $p = 0$ と重複するため、実数解は1個となる。したがって、法線は1本である。
(iii) $a - \frac{1}{2} < 0$ すなわち $a < \frac{1}{2}$ のとき
$p^2 = a - \frac{1}{2}$ は実数解をもたない。 したがって、方程式の実数解は $p = 0$ の1個のみであり、法線は1本である。
以上より、求める法線の本数は $a > \frac{1}{2}$ のとき 3本、$a \leqq \frac{1}{2}$ のとき 1本
解法2
(1) $y = x^2$ より $y' = 2x$ であるから、点 $P(p, p^2)$ における接線の傾きは $2p$ である。
(i) $p \neq 0$ のとき
接線の傾きは $0$ ではないため、法線の傾きを $m$ とすると $2pm = -1$ より $m = -\frac{1}{2p}$ となる。 よって、法線の方程式は
$$ y - p^2 = -\frac{1}{2p}(x - p) $$
整理して、
$$ y = -\frac{1}{2p}x + p^2 + \frac{1}{2} $$
(ii) $p = 0$ のとき
接線の傾きは $0$ であり、接線は $x$ 軸($y = 0$)となる。 これに垂直で点 $P(0, 0)$ を通る直線は $y$ 軸であるから、法線の方程式は
$$ x = 0 $$
(2) 点 $(0, a)$ を通る法線の本数を求める。
(i) $p \neq 0$ のとき
法線 $y = -\frac{1}{2p}x + p^2 + \frac{1}{2}$ が点 $(0, a)$ を通るので、
$$ a = p^2 + \frac{1}{2} $$
整理して、
$$ p^2 = a - \frac{1}{2} $$
$a > \frac{1}{2}$ のとき、この方程式は $p \neq 0$ なる異なる2つの実数解 $p = \pm\sqrt{a - \frac{1}{2}}$ をもつ。これらは異なる傾きをもつため2本の法線となる。 $a \leqq \frac{1}{2}$ のとき、この方程式は $p \neq 0$ なる実数解をもたないため、条件を満たす法線は存在しない。
(ii) $p = 0$ のとき
法線 $x = 0$ は定数 $a$ の値によらず常に点 $(0, a)$ を通る。これは1本の法線である。
(i), (ii) より、法線の本数は $a > \frac{1}{2}$ のとき、$2 + 1 = 3$ 本 $a \leqq \frac{1}{2}$ のとき、$0 + 1 = 1$ 本
解説
「ある点を通る接線や法線」を求める問題では、曲線上にある接点(本問では点 $P$)の座標を文字でおいて方程式を立て、そこに通過点の座標を代入するという手順が鉄則です。
また、本問のように直線が $y$ 軸に平行になるケース(傾きが定義できないケース)は、解答の記述で漏れやすいため注意が必要です。解法1のように法線ベクトルの内積を用いて立式するか、方程式の分母を払った形を用いれば、場合分けをせずに処理を進めることができます。
最後に、接点の $x$ 座標 $p$ の方程式を導いた後、「$p$ の個数」と「法線の本数」が一致することの確認も重要です。曲線によっては異なる接点から同じ直線が引ける(二重接線など)場合がありますが、放物線の法線の場合はすべての傾き(または $y$ 軸との平行関係)が異なるため、実数解の個数がそのまま直線の本数になります。
答え
(1) $x + 2py - 2p^3 - p = 0$ (または、$p \neq 0$ のとき $y = -\frac{1}{2p}x + p^2 + \frac{1}{2}$、$p = 0$ のとき $x = 0$)
(2) $a > \frac{1}{2}$ のとき 3本 $a \leqq \frac{1}{2}$ のとき 1本
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