大阪大学 2005年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) は関数 $f(x)$ を微分し、導関数の符号から増減表を作成する。極値や $y$ 切片などの特徴的な点を求めてグラフの概形を描く、標準的な微分の問題である。
(2) は方程式 $2x^3+x^2-3=mx$ の異なる実数解が3個になるような $m$ の範囲を求める問題である。直線 $y=mx$ は原点を通る直線束である。定数分離を用いて $m = \frac{2x^3+x^2-3}{x}$ と変形し、関数 $y=m$ と $y=\frac{2x^3+x^2-3}{x}$ のグラフの共有点の個数を調べる方法が、計算の見通しが良く確実である。
解法1
(1) $f(x) = 2x^3 + x^2 - 3$ を $x$ について微分すると、
$$ \begin{aligned} f'(x) &= 6x^2 + 2x \\ &= 2x(3x + 1) \end{aligned} $$
$f'(x) = 0$ とすると、$x = 0, -\frac{1}{3}$ である。 関数 $f(x)$ の増減表は以下のようになる。
| $x$ | $\cdots$ | $-\frac{1}{3}$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
極値はそれぞれ以下の通りである。 $x = -\frac{1}{3}$ のとき、極大値は、
$$ \begin{aligned} f\left(-\frac{1}{3}\right) &= 2\left(-\frac{1}{27}\right) + \frac{1}{9} - 3 \\ &= -\frac{2}{27} + \frac{3}{27} - \frac{81}{27} \\ &= -\frac{80}{27} \end{aligned} $$
$x = 0$ のとき、極小値は $f(0) = -3$ である。 また、$y$ 切片は $(0, -3)$ であり、$x = 1$ のとき $f(1) = 2+1-3=0$ より $x$ 軸と点 $(1, 0)$ で交わる。 以上より、$y=f(x)$ のグラフは、点 $(-\frac{1}{3}, -\frac{80}{27})$ を極大点、点 $(0, -3)$ を極小点とし、点 $(1, 0)$ を通る右上がりの3次関数の曲線となる。
(2) 直線 $y = mx$ と曲線 $y = f(x)$ が相異なる3点で交わるための条件は、方程式
$$ 2x^3 + x^2 - 3 = mx $$
が相異なる3つの実数解をもつことである。 $x = 0$ のとき、左辺は $-3$、右辺は $0$ となり等式を満たさないため、$x = 0$ は解ではない。 したがって、$x \neq 0$ として両辺を $x$ で割ると、次のように定数 $m$ を分離できる。
$$ m = 2x^2 + x - \frac{3}{x} $$
ここで、$g(x) = 2x^2 + x - \frac{3}{x}$ とおく。 求める $m$ の範囲は、関数 $y = g(x)$ のグラフと直線 $y = m$ が相異なる3つの共有点をもつような $m$ の範囲に等しい。 $g(x)$ を微分すると、
$$ \begin{aligned} g'(x) &= 4x + 1 + \frac{3}{x^2} \\ &= \frac{4x^3 + x^2 + 3}{x^2} \end{aligned} $$
$h(x) = 4x^3 + x^2 + 3$ とおくと、$h(-1) = -4 + 1 + 3 = 0$ であるから、因数定理より $h(x)$ は $x+1$ を因数にもつ。
$$ g'(x) = \frac{(x + 1)(4x^2 - 3x + 3)}{x^2} $$
ここで、$4x^2 - 3x + 3 = 4\left(x - \frac{3}{8}\right)^2 + \frac{39}{16} > 0$ であるから、$g'(x) = 0$ を満たす実数は $x = -1$ のみである。 関数 $g(x)$ の増減表は以下のようになる($x=0$ は定義域外であることに注意する)。
| $x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $g'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $\times$ | $+$ |
| $g(x)$ | $\searrow$ | $4$ | $\nearrow$ | $\times$ | $\nearrow$ |
また、極限は次のようになる。
$$ \begin{aligned} \lim_{x \to \infty} g(x) &= \infty \\ \lim_{x \to -\infty} g(x) &= \infty \\ \lim_{x \to +0} g(x) &= -\infty \\ \lim_{x \to -0} g(x) &= \infty \end{aligned} $$
これより、$y=g(x)$ のグラフは $x=-1$ で極小値 $g(-1) = 4$ をとり、$y$ 軸 ($x=0$) を漸近線にもつ。 $x < 0$ の部分では $y \ge 4$ の値域をもち、$x > 0$ の部分では実数全体の値域を単調に増加する。 直線 $y = m$ がこのグラフと相異なる3点で交わるのは、$x < 0$ の範囲で2点、$x > 0$ の範囲で1点の共有点をもつときである。 増減表と極限から、そのような $m$ の範囲は $m > 4$ である。
解法2
(2) 接線に着目する解法
直線 $y = mx$ は原点 $(0,0)$ を通る直線である。原点を通る直線と曲線 $y = f(x)$ が3点で交わる条件を、原点から曲線に引いた接線を基準に考える。
曲線 $y = 2x^3 + x^2 - 3$ 上の点 $(t, 2t^3 + t^2 - 3)$ における接線の方程式は、 $f'(t) = 6t^2 + 2t$ より、
$$ y - (2t^3 + t^2 - 3) = (6t^2 + 2t)(x - t) $$
これが原点 $(0,0)$ を通るとき、
$$ \begin{aligned} -(2t^3 + t^2 - 3) &= -t(6t^2 + 2t) \\ -2t^3 - t^2 + 3 &= -6t^3 - 2t^2 \\ 4t^3 + t^2 + 3 &= 0 \end{aligned} $$
左辺を因数分解すると、
$$ (t + 1)(4t^2 - 3t + 3) = 0 $$
$4t^2 - 3t + 3 = 4\left(t - \frac{3}{8}\right)^2 + \frac{39}{16} > 0$ より、この方程式の実数解は $t = -1$ のみである。 したがって、原点から引ける接線はただ1本であり、その接点の $x$ 座標は $t = -1$、接線の傾きは $m = f'(-1) = 6(-1)^2 + 2(-1) = 4$ である。 すなわち、接線の方程式は $y = 4x$ となる。
次に、方程式 $f(x) = mx$ の実数解の個数を図形的に考える。 $x>0$ の範囲では、$f(0)=-3 < 0$ であり、$x \to \infty$ で $f(x)$ の増加度の方が一次関数 $mx$ より大きいため、任意の $m$ に対して必ず1点で交わる。 $x<0$ の範囲においては、接線 $y = 4x$ は $x = -1$ で接しており、このとき $2x^3 + x^2 - 3 = 4x$ は $x=-1$ を重解にもつ。 さらに $f''(x) = 12x + 2$ であり、$x < -\frac{1}{6}$ において $f''(x) < 0$ であるから、グラフは上に凸である。 したがって、原点を通る直線 $y = mx$ の傾き $m$ が $m = 4$(接するとき)より大きいとき、直線は上に凸の曲線と $x < 0$ の範囲で異なる2点で交わる。 以上より、直線が曲線と相異なる3点で交わるための $m$ の範囲は $m > 4$ である。
解説
(1) は3次関数のグラフを描く基本問題である。極大値の分数計算を正確に行うことと、切片(特に $x=1$ で $y=0$ となること)を押さえておくことで、精度の高いグラフが描ける。
(2) の方程式の実数解の個数は、「定数分離」によるアプローチが最も確実である。解法1のように、$x=0$ が解でないことを確認したうえで $m$ を孤立させ、分数関数のグラフを描く。分数関数を微分して増減を調べる手間はあるが、グラフの上下関係という視覚的でミスの少ない形に帰着できるため、本番でも選択したい解法である。
解法2の「接線を利用する」アプローチは、直線束が原点を固定して回転することに着目している。接する瞬間が境界となるため、原点からの接線を求めて図形的に処理している。本問では接線を求める方程式が解法1の導関数の分子と同じ形になるため、計算量も少なくエレガントに解けるが、グラフの凹凸などを根拠にして交点の個数を論じる際に論理の飛躍が起こりやすいため、記述には十分な注意が必要である。
答え
(1)
増減表は以下の通り。
| $x$ | $\cdots$ | $-\frac{1}{3}$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |
| $f(x)$ | $\nearrow$ | $-\frac{80}{27}$ | $\searrow$ | $-3$ | $\nearrow$ |
グラフの概形は、極大点が $(-\frac{1}{3}, -\frac{80}{27})$、極小点が $(0, -3)$ であり、$x$ 軸と $(1, 0)$ で交わり $y$ 軸と $(0, -3)$ で交わる右上がりの3次関数の曲線となる。
(2)
$$ m > 4 $$
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