東北大学 1985年 理系 第5問 解説

方針・初手
まず媒介変数表示を微分して、曲線 $C$ の接ベクトルと速さを求める。
すると弧長 $l$ はそのまま積分で求まり、さらに接線方向の単位ベクトルも得られるので、点 $Q$ は 「点 $P$ から接線方向へ長さ $l$ だけ進んだ点」として座標表示できる。
最後は、$Q$ の座標を整理して、曲線 $C$ の $\pi<t<2\pi$ の部分がどの合同変換で移るかを示せばよい。
解法1
点 $P$ の対応する媒介変数を $t\ (0<t<\pi)$ とすると、
$$ P=(t+\sin t,\ \cos t-1) $$
である。
曲線 $C$ を
$$ x=t+\sin t,\qquad y=\cos t-1 $$
とおくと、
$$ \frac{dx}{dt}=1+\cos t,\qquad \frac{dy}{dt}=-\sin t $$
であるから、速さは
$$ \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2} =\sqrt{(1+\cos t)^2+\sin^2 t} =\sqrt{2+2\cos t} =2\cos\frac t2 $$
となる。ここで $0<t<\pi$ なので $\cos \dfrac t2>0$ を用いた。
(1) 弧の長さ $l$
点 $O(0,0)$ は $t=0$ に対応する点であるから、$O$ から $P$ までの弧長 $l$ は
$$ l=\int_0^t 2\cos\frac u2,du =4\sin\frac t2 $$
である。
したがって、
$$ l=4\sin\frac t2 $$
である。
(2) 点 $Q$ の座標
点 $P$ における接ベクトルは
$$ \left(1+\cos t,\ -\sin t\right) $$
であり、その長さは $2\cos \dfrac t2$ であるから、接線方向の単位ベクトルは
$$ \left(\cos\frac t2,\ -\sin\frac t2\right) $$
である。
このベクトルは $x$ 成分が正であるので右向きである。問題では $Q$ は $P$ より左側にあるから、$P$ から $Q$ への向きはその反対向きであり、
$$ \overrightarrow{PQ} =l\left(-\cos\frac t2,\ \sin\frac t2\right) $$
である。
よって
$$ Q = \left(t+\sin t,\ \cos t-1\right) + 4\sin\frac t2\left(-\cos\frac t2,\ \sin\frac t2\right) $$
となる。
これを整理すると、
$$ x_Q=t+\sin t-4\sin\frac t2\cos\frac t2 =t+\sin t-2\sin t =t-\sin t $$
また、
$$ y_Q=\cos t-1+4\sin^2\frac t2 =\cos t-1+2(1-\cos t) =1-\cos t $$
である。
したがって、$Q$ の座標は
$$ Q=(t-\sin t,\ 1-\cos t) $$
である。
(3) $Q$ の描く曲線と $C$ の $\pi<t<2\pi$ の部分の合同
$Q$ の軌跡は
$$ x=t-\sin t,\qquad y=1-\cos t \qquad (0<t<\pi) $$
で表される。
一方、曲線 $C$ の $\pi<u<2\pi$ の部分は、媒介変数を $u$ と書けば
$$ x=u+\sin u,\qquad y=\cos u-1 \qquad (\pi<u<2\pi) $$
である。
ここで
$$ u=2\pi-t $$
とおくと、$\pi<u<2\pi$ が成り立ち、
$$ \sin u=\sin(2\pi-t)=-\sin t,\qquad \cos u=\cos(2\pi-t)=\cos t $$
であるから、
$$ u+\sin u=2\pi-t-\sin t, \qquad \cos u-1=\cos t-1 $$
となる。
したがって、$C$ の $\pi<u<2\pi$ の部分上の点 $(X,Y)$ を
$$ X=u+\sin u,\qquad Y=\cos u-1 $$
とすると、$Q$ の座標は
$$ x_Q=t-\sin t=2\pi-(u+\sin u)=2\pi-X $$
$$ y_Q=1-\cos t=-(\cos u-1)=-Y $$
と書ける。
すなわち、$Q$ の軌跡は、$C$ の $\pi<u<2\pi$ の部分を点 $(\pi,0)$ を中心として $180^\circ$ 回転した図形である。
$180^\circ$ 回転は合同変換であるから、$Q$ の描く曲線は $C$ の $\pi<t<2\pi$ の部分と合同である。
解説
この問題の要点は、媒介変数表示された曲線に対して
$$ \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2} $$
を用いて弧長を求め、その結果を接線方向へそのまま使うことである。
(2) では接ベクトルを単位ベクトルに直してから長さ $l$ を掛けるのが基本処理である。 また (3) では、得られた $Q$ の座標を見てすぐに $t\mapsto 2\pi-t$ を試すのが自然であり、実際に点対称の関係が現れる。
答え
$$ l=4\sin\frac t2 $$
$$ Q=(t-\sin t,\ 1-\cos t) $$
また、$Q$ の描く曲線は、曲線 $C$ の $\pi<t<2\pi$ の部分を点 $(\pi,0)$ を中心として $180^\circ$ 回転したものである。したがって両者は合同である。
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