東京工業大学 1963年 理系 第3問 解説

方針・初手
正方形の対角線の交点 $O$ を原点とする座標軸を設定し、各点の座標を $r$ を用いて表すことで代数的に処理する。
- 座標平面を導入し、円 $O$ および接線の交点 $E$ の座標を求める。
- 「相似の中心が $A$」という条件から、点 $A$ からそれぞれの円の中心までの距離の比を用いて、円 $E$ の半径 $r'$ を $r$ の式で表す。
- (1)は「2円が交わる条件」、すなわち「中心間の距離 $d$ が半径の差と和の間にある」という不等式を解く。
- (2)は余弦定理を用いて $\cos \frac{\theta}{2}$ を $r$ の式で表し、(1)で求めた $r$ の範囲における関数の値域を調べる。
解法1
正方形の対角線の交点 $O$ を原点 $(0,0)$ とし、辺 $AB$ が直線 $y = -1$ 上、辺 $AD$ が直線 $x = -1$ 上にあるように座標軸を設定する。 このとき、頂点 $A$ の座標は $(-1, -1)$ である。 また、円 $O$ は正方形の内部にあるため、その半径 $r$ の範囲は $0 < r < 1$ である。
円 $O$ の方程式は $x^2 + y^2 = r^2$ となる。 円 $O$ に接し、$AB$( $x$ 軸に平行)および $AD$( $y$ 軸に平行)に平行な接線のうち、点 $A$ に近い側の接線の方程式はそれぞれ $y = -r, x = -r$ である。 したがって、これらの交点 $E$ の座標は $(-r, -r)$ である。
円 $E$ の半径を $r'$ とする。 円 $O$ と円 $E$ の相似の中心が $A$ であり、3点 $A, E, O$ はこの順に直線 $y = x$ 上にあるため、相似比は線分 $AO$ と線分 $AE$ の長さの比に等しい。
$$AO = \sqrt{(-1)^2 + (-1)^2} = \sqrt{2}$$
$$AE = \sqrt{(-1 - (-r))^2 + (-1 - (-r))^2} = \sqrt{2(r-1)^2} = \sqrt{2}(1-r)$$
( $\because 0 < r < 1$ )
ゆえに、$AE : AO = r' : r$ が成り立つから、
$$\sqrt{2}(1-r) : \sqrt{2} = r' : r$$
$$r' = r(1-r)$$
(1)
2円 $O, E$ の中心間の距離を $d$ とすると、
$$d = OE = \sqrt{(-r)^2 + (-r)^2} = \sqrt{2}r$$
2円が交わるための条件は、半径の差と和について $|r - r'| < d < r + r'$ が成り立つことである。 $r - r' = r - r(1-r) = r^2 > 0$ であり、$r + r' = r + r(1-r) = 2r - r^2$ であるから、
$$r^2 < \sqrt{2}r < 2r - r^2$$
$r > 0$ であるから、辺々を $r$ で割って、
$$r < \sqrt{2} < 2 - r$$
$r < \sqrt{2}$ は $0 < r < 1$ のもとで常に成り立つ。 $\sqrt{2} < 2 - r$ より、$r < 2 - \sqrt{2}$ を得る。 $0 < r < 1$ とあわせて、求める $r$ の値の範囲は、
$$0 < r < 2 - \sqrt{2}$$
(2)
2円の交点を $K, L$ とする。 直線 $OE$ は2円の中心を通るため、図形の対称性から $\angle OEK = \angle OEL = \frac{\theta}{2}$ である。 ここで、$\angle OEK = \alpha$ とおく。
$\triangle OEK$ において、3辺の長さはそれぞれ $OE = \sqrt{2}r$、$EK = r' = r(1-r)$、$OK = r$ である。 余弦定理により、
$$\cos\alpha = \frac{OE^2 + EK^2 - OK^2}{2 \cdot OE \cdot EK}$$
$$\cos\alpha = \frac{2r^2 + r^2(1-r)^2 - r^2}{2 \cdot \sqrt{2}r \cdot r(1-r)}$$
$$\cos\alpha = \frac{r^2 + r^2(1-r)^2}{2\sqrt{2}r^2(1-r)}$$
$r \neq 0$ より分母分子を $r^2$ で割ると、
$$\cos\alpha = \frac{1 + (1-r)^2}{2\sqrt{2}(1-r)}$$
$$\cos\alpha = \frac{1}{2\sqrt{2}} \left( \frac{1}{1-r} + 1 - r \right)$$
ここで、$1-r = t$ とおく。(1)の結果 $0 < r < 2 - \sqrt{2}$ より、$t$ の値の範囲は、
$$\sqrt{2}-1 < t < 1$$
このとき、
$$\cos\alpha = \frac{1}{2\sqrt{2}} \left( t + \frac{1}{t} \right)$$
$f(t) = t + \frac{1}{t}$ とおくと、$f'(t) = 1 - \frac{1}{t^2} = \frac{t^2-1}{t^2}$ である。 $\sqrt{2}-1 < t < 1$ において $f'(t) < 0$ であるから、$f(t)$ はこの範囲で単調に減少する。 端点での値を調べると、
$$f(1) = 1 + 1 = 2$$
$$f(\sqrt{2}-1) = (\sqrt{2}-1) + \frac{1}{\sqrt{2}-1} = (\sqrt{2}-1) + (\sqrt{2}+1) = 2\sqrt{2}$$
したがって、$f(t)$ のとり得る値の範囲は $2 < f(t) < 2\sqrt{2}$ となる。ゆえに、
$$\frac{1}{2\sqrt{2}} \cdot 2 < \cos\alpha < \frac{1}{2\sqrt{2}} \cdot 2\sqrt{2}$$
$$\frac{1}{\sqrt{2}} < \cos\alpha < 1$$
$\alpha$ は三角形の内角であるから $0 < \alpha < \pi$ であり、この範囲で $\cos\alpha$ の不等式を解くと、
$$0 < \alpha < \frac{\pi}{4}$$
$\theta = 2\alpha$ であるから、求める $\theta$ のとり得る値の範囲は、
$$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$$
解説
「相似の中心」という条件を、図形的に処理するのではなく座標平面に落とし込むことが第一のポイントである。これにより、未知の円の半径を機械的な計算で導出できる。
(1)は「2円が交わる条件」の基本事項 $|r_1 - r_2| < d < r_1 + r_2$ をそのまま適用する。 (2)では、交点のなす角を問われているが、対称性から半分の角 $\alpha$ に着目し、$\triangle OEK$ で余弦定理を用いる。得られた $\cos\alpha$ の式が $1-r$ と $\frac{1}{1-r}$ の和の形をしているため、変数変換を行うことで見通し良く値域を求めることができる。
答え
(1)
$$0 < r < 2 - \sqrt{2}$$
(2)
$$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$$
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